本研究の目的は、一般病院における認知障害をもつ高齢者のリスクマネジメントの観点からの身体拘束の低減に向けた教育プログラムの開発を行うことである。これまで、質問紙調査、インタビュー調査の結果から専門家会議を開催し、プログラムの構成を検討した。その結果、スタッフの倫理観の育成、身体拘束の具体的な代替ケア、そして、家族へのケアが重要であることが明らかになった。特に家族については、【身体拘束解除のためのマンパワー】として、家族を身体拘束に代わるケア方法としての付き添いとしての認識が明らかになった。また、【身体拘束実施の説明時のかかわり】の際に家族とかかわる機会を持っていた。そして、以前入院していた病院での経験から【身体拘束を希望する家族とのかかわり】があり、前に入院していた病院での説明から、身体拘束は必要なものという認識が強く、これは、チームが身体拘束を使用しない、または、解除に向けた取り組みでの障害となっていた。そのため、スタッフが身体拘束をしない方針が貫けないことも明らかになった。しかし、一方で【拘束解除に向けた家族の意思の活用】を行っており、家族の意思をチームに提示することで身体拘束を解除するための取り組みを促進していることも明らかになった。これらのことから家族の意思や考え方は、身体拘束の実施に大きく関わると考えられた。今後は更に3つの柱を基に教育プログラムの具体的内容を構築し、実施可能性を高めた内容や方法を提示していく必要がある。
|