非がん高齢入院患者への包括的疼痛アセスメントツールの開発

2015 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 26463470
• 研究機関: 順天堂大学
• 研究代表者: 島田 広美 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (00279837)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2017-03-31
• キーワード: 高齢者 / 看護 / 疼痛 / アセスメント

研究実績の概要

本研究の目的は、看護師が入院治療を受ける高齢者の主観的な痛みを把握し、評価していくために、高齢者の特性あわせた非がん高齢入院患者への包括的な疼痛アセスメントツールを開発することである。
平成27年度は、①非がん性および高齢者の疼痛把握に関するエビデンスとなる文献を分析統合する。②非がん患者・高齢患者を対象とした疼痛アセスメントに関するヒヤリング調査を行う。①②から非がん高齢入院患者の包括的疼痛アセスメントツールの試案を作成することを計画した。
①非がん性および高齢者の疼痛把握に関するエビデンスとなる文献の検討：看護、高齢者、疼痛に関連する学会に参加し、疼痛ケア・治療の最新の知見を得た。それらをふまえ、本研究では、高齢者の疼痛管理の目標を高齢者が疼痛をもちつつも、主体的な活動を維持・向上できることに焦点を当てることとし、高齢者の活動性を維持・向上に向けた疼痛アセスメントツール作成にむけて、文献を選択、整理している。
②非がん患者・高齢患者を対象とした疼痛アセスメントに関するヒヤリング調査：2施設5名の看護師のインタビューから、高齢者が有する痛みの実態、看護師は高齢者の痛みをいつ、どのように把握しているか、高齢者の痛みの把握するための工夫や課題についての知見を得た。これらの結果をもとに、高齢者の特徴をおさえた包括的疼痛アセスメントツールの枠組みを作成している。しかし、対象施設や診療科（療養型と急性期病院：整形、神経内科、膠原病）によって、アセスメントの視点の違いがみられた。このことから、コアとなる共通の視点と高齢者の状況に合わせた視点の組み合わせが必要であることがわかった。さらに追加の視点を得るために、②でえられたアセスメントツールの枠組みをもとに、非がん高齢入院患者と日常的に接している看護師へのインタビュー、および、高齢者看護の専門家にインタビューを行う準備をしている。

現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

文献検討において、高齢者の慢性疼痛に関する研究成果が複数見られるようになってきており、本研究の焦点をどこに定めるかに検討を要し、その後の整理・分析が遅れている。
ヒヤリング調査においては、協力施設及び対象者との日程調整に時間を要し、インタビュー時期が遅れたため、その後の分析が遅れている。

今後の研究の推進方策

平成27年度までに行ってきた文献検討とインタビューの結果から作成する「非がん高齢患者への包括的アセスメントツール試案をもとに、研究者間での討議、並びに、様々な施設での看護実践者へのインタビュー調査、専門家会議を行い、追加・修正を加え、包括的疼痛アセスメントツールの完成を目指す。

次年度使用額が生じた理由

ヒヤリング調査、専門家会議の遅れによる旅費、人件費の減少が生じた。

次年度使用額の使用計画

連携研究者と分担し、インタビュー調査、専門家会議を計画的・効率的に行えるように、担当を明確にしてスケジュール通りに、旅費、人件費を執行する。
今年度は、最終年度であることから、研究成果をまとめ、発表できるように準備していく。