研究課題/領域番号 |
26463473
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
坂口 千鶴 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (60248862)
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研究分担者 |
筒井 真優美 日本赤十字看護大学, 看護学部, 特任教授 (50236915)
逸見 功 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (50173563)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 認知障害 / 高齢者 / 看護師 / 急性期病院 / 倫理的悩み / 自己超越 / 自律性 |
研究実績の概要 |
1.質問紙の配布と回収について:質問紙の配布は平成30年2月中旬から始め、回収については4月上旬まで行った。研究対象者は都内6か所の300床以上の急性期病院に勤務し、臨床経験2年目以上の役職のない看護師で、認知障害のある高齢患者を看護した経験のある者である。配布から約2週間後までに同封した封筒を用いて個人的に郵送してもらった。 2.分析経過について:1266名に配布して233名より回答があった(回収率18.4%)。現在、そのうち3つの尺度に欠損値が見られなかった207名を対象に、尺度の信頼性と妥当性を検討している段階である。対象者は女性193名(91.0%)、男性13名(6.1%)で、年齢は平均31.2歳(SD6.74)、臨床経験は平均8.3年(SD6.14)であった。各尺度の信頼性について、①倫理的悩み尺度改訂版日本語尺度については、低い値に偏る正規性に課題があるものの、項目間相関、I-T相関、G-P分析では大きな問題なく、Cronbachのα係数も0.896と高い信頼性が得られた。②日本語版自己超越尺度については、正規性、項目間相関、I-T相関、G-P分析では大きな問題は見られず、Cronbachのα係数も0.828と高い信頼性が得られた。③看護の専門職的自律性測定尺度については、正規性、項目間相関、I-T相関、G-P分析は大きな問題なかったが、Cronbachのα係数が0.966と非常に高い値となった。 3.今後の研究予定について:今後も研究データの分析を継続し、尺度の妥当性を因子分析、既知グループ法等を用いて確認していく。その結果をもとに、各尺度の関係性について相関分析を行い、各尺度に関連する因子について、t検定あるいは分散分析等を用いて確認していき、最終的には研究の枠組みにおける各変数の関係性をみるパス解析を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
第1の理由としては、平成26年度から研究を開始し、その翌年平成27年度に研究責任者が体調不良で入院し、その後の治療も1年間継続して続いたため、当初の計画を円滑に遂行することができなかったことが挙げられる。 第2の理由としては.本研究でも用いる3つの尺度のうちMoral Distress Scalse-Revisedだけ日本語翻訳版がなかったため、この尺度の開発も含めて予備調査を行ったが、平成29年度本調査の質問紙配布直前に日本語翻訳版があることが明らかになり、質問紙の配布が遅れたことである。米国の尺度開発者とは連絡を取り合い許可も得て開発に取り掛かり、予備調査結果も報告して再度本調査で用いることも許可を得ていた。この時点で、開発者自身も日本語翻訳版についての情報が伝わっていなかったのではないかと考えられる。そのため、開発者との再度メールを通じて話し合い、日本語翻訳版の開発者からの許可を得る過程で多くの時間を費やし、最終的には質問紙の配布時期がかなり遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
研究の進捗状況について、体調不良と尺度(英語版は同じ)の変更という理由から遅れていることから、1年の延長手続きを行った。その延長期間の中で、下記の予定で研究を進めていこうと考えている。 1.尺度の妥当性の検討:各尺度の妥当性を因子分析、既知グループ法等を用いて確認していく。その結果をもとに、各尺度の関係性について相関分析を行い、各尺度に関連する因子について、t検定あるいは分散分析等を用いて確認していく。最終的には研究の枠組みにおける各変数の関係性をみるパス解析を実施する予定である。 2.得られた結果を先行研究の結果等と比較し、論文として仕上げていく。また得られた結果については、学会等で発表し、多くの研究者との意見交換を行う。その後学会誌への投稿も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
体調不良と尺度の変更等により、平成30年2月中旬に質問紙の配布を開始することとなり、4月上旬まで回収にかかった。そのため、研究延長を依頼することとなり、今後のデータ入力、データ分析等についてアルバイトの必要性、学会等の発表等での旅費の必要性により次年度使用する額が生じることとなった。
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