研究実績の概要 |
最終年度では、質問紙を配布した1264名のうち回答を得た233名(回収率18.4%)についてデータを確認し、そのうち使用した3尺度に欠損値がない207名(有効回答率88.4%)を分析対象としていたが、最終的には属性と3尺度両方について欠損値がない188名(有効回答率80.7%)を分析対象とすることとした。 1.対象者の属性:188名のうち、女性176名(93.6%) 、男性12名(6.4%)で、平均年齢平均31.3歳(SD6.81)、臨床経験平均8.35年(SD6.19)、62.8%が大学卒であった。 2.尺度の信頼性と妥当性:①日本語版の倫理的悩み尺度修正版21項目に開発者の許可を得て質問項目3項目を追加した24項目版について、妥当性を見るために因子分析を行った結果、3つの因子で構成される13項目(JMDS-R-13)となり、Cronbachの信頼係数は全体で.90、各因子について.83~.90となった。②日本語版自己超越尺度17項目(JSTS-17)は一元性であり、Cronbachの信頼係数は.81であった。③看護の専門職的自律性尺度について、因子分析の結果、4つの因子で構成される34項目(JMDS-R-13)となり、Cronbachの信頼係数は全体で.94、各因子について.88~.93であった。 3.尺度間の相関:倫理的悩み(JMDS-R-13)と自己超越(JSTS-17)との関係について弱い正の相関が見られ(ρ=0.17, p<.05)、自己超越と看護の専門職的自律性(JMDS-R-13)についても弱い正の相関がみられたが(r=0.26, p<.01)、倫理的な悩みと看護の専門職的自律性について相関はみられなかった。 4.属性との関連:年齢は自律性、臨床経験年数は倫理的悩み、自己超越、自律性との相関があり、最終学歴は自律性のみ関連が見られた。
|