研究課題/領域番号 |
26463474
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研究機関 | 佐久大学 |
研究代表者 |
征矢野 あや子 佐久大学, 看護学部, 教授 (20281256)
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研究分担者 |
堀内 ふき 佐久大学, 看護学部, 教授 (90219303)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高齢者 / 介護老人保健施設 / 苦痛 / スピリチュアル |
研究実績の概要 |
目的:介護老人保健施設(以下、老健と呼ぶ)に入所する要介護高齢者医療依存度は高まっているにもかかわらず、高齢者がどのような苦痛・症状をかかえているかを明らかにした調査・報告は少ない。高齢者の心身の症状の現れ方は非定型的で、また認知症やコミュニケーション機能障害などにより、充分に表出されないことが一因と考えられる。本研究は、老健で生活している高齢者が感じている苦痛を身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな側面から明らかにする。また、苦痛に関する抽象的な質問と具体的な質問に対して高齢者が話す内容は何か、および質問に対して苦痛を話さない高齢者の特性を明らかにする。 方法:質問紙を用いた面接調査を計画、実施した。研究の対象者は、A県の老健B,Cの2施設に入所しており、退所予定がなく、認知症や言語障害の有無に拘わらず、はい・いいえの意思表示が可能な高齢者である。最初に「つらい、苦しい、困っていることは何か」という抽象的な問いかけで苦痛を話してもらい、その後、身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな側面の苦痛について具体的な質問をした。身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな側面の苦痛は、文献をもとに調査票を自作した。計44項目で構成される。 結果:条件に該当した者は96名で、調査対象条件に適さない17名と入院・死亡者8名を除く71名に調査を行った。身体的側面の苦痛があった高齢者は64名90.1%、精神的側面は34名47.9%、社会的側面は46名64.8%、スピリチュアルな側面は27名38.0%であった。身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな側面はそれぞれつながっていた。最初の抽象的な問いかけで苦痛を話した高齢者は33名46.5%で、全ての質問を終えて、何らかの苦痛のあった者は67名94.4%であった。引き続き分析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
対象となる施設を4施設から2施設に減らしたため、データ収集は既に終わり、分析作業が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、調査結果の分析を進めつつ、高齢者ケアに関連する専門学会で発表する。 研究協力施設を当初の計画の4施設から2施設に減らした分、明らかになった苦痛に基づき、高齢者看護の経験の浅い人材にも、高齢者の苦痛をアセスメントできるようなアセスメントシートの試案、試行する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では4か所の老健で調査を行う予定だったが、2か所に変更したため、調査にかかる謝金と旅費が減額した。
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次年度使用額の使用計画 |
初学者でも高齢者の苦痛をアセスメントできるようなアセスメントツールの試作を研究計画に加えたため、そのための謝金、旅費、資料購入費用に充てる。また27年度に老年医学会アジアオセアニア大会(タイ国、チェンマイ)で研究成果を発表し、今後の研究について、大会参加者やタイ国の研究者とディスカッションする予定である。
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