研究課題/領域番号 |
26463477
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研究機関 | 神戸常盤大学 |
研究代表者 |
谷口 由佳 神戸常盤大学, 保健科学部, 准教授 (80530310)
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研究分担者 |
沼本 教子 京都橘大学, 看護学部, 教授 (00198558)
坪井 桂子 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (80335588)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 意思疎通不可能 / 高齢者ケア / 終末期ケア / 教育支援プログラム / 看護継続教育 |
研究実績の概要 |
昨年度作成した意思疎通不可能な高齢者の終末期ケアに取り組む看護職を対象にした教育支援プログラムの試案について、研究協力施設の看護管理者および教育担当者から有効性・妥当性に関する意見をもらい、修正を加えた。本年度の計画は、教育支援プログラムの試行であった。60床の療養病床を有する医療施設に協力を得て、看護職11人を対象に実施することができた。プログラムは全4回から成るが、本年度内に2回を終え、次年度に2回の実施が決まっている。第1回は、看護職の死生観の深化を目的に、意思疎通不可能な高齢者の死や生にまつわる価値や目的などについてグループ討議を行った。計画では、グループ討議の題材として事前に論文を読んでくることにしていたが、看護管理者や教育担当者から、臨床では研究論文に触れる機会が少なく難しいのではないかという意見をもらい、グループ討議の前に研究者が概要をわかりやすくプレゼンテーションするよう修正した。これにより、参加者全員が自らの死生観を考えることの必要性を認識したうえで、グループ討議に進むことができた。また、第2回に向け意思疎通不可能な高齢者の生活史作成を課題にだした。先行研究を通し、意思疎通不可能な高齢者の終末期ケアに取り組む看護職の特徴には、このような状態にある高齢者の生が受けいれられずに苦悩しているとあり、生にふれる機会を意図的に作ろうと考えた。工夫として、先行研究を参考に研究者が独自に作成した「その人らしさをかたちづくるためのシート(Sheet to Shape the Personhood;SSP、以下SSP)」を用いた。第2回は、作成したSSPを通して高齢者の理解を深め、自身の死生観がどのように変化したかなどに関し、グループ討議を行った。他者の意見を聴き、多様な死生観を知ることで、自身の死生観を問い直す機会にもなり、死生観のさらなる深化が期待された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、教育支援プログラムの試行を計画に挙げていたが、全4回から成るプログラムのうち、2回を実施したところで終わってしまった。しかし、計画通りの実施間隔で、次回の実施日程も決まっており、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、教育支援プログラムの実施・検証を計画している。実施するための研究協力施設については、2施設に打診し、よい方向で返事を待っている。あと2~3の研究協力施設が確保ができれば、教育支援プログラムはほぼ完成していることから、計画通りに進展していくものと思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画では、討議内容のテープ起こしの費用を含めていたが、教育支援プログラムの試行段階であり、研究者自身でデータの意味を読み取る必要があったため、委託することはしなかった。そのための費用が未使用となっている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、研究協力施設が増える予定であり、データも豊富になる。次年度は、研究遂行の円滑化を図るためにも、テープ起こし費用を活用していく必要がある。
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