研究課題/領域番号 |
26463478
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
国光 恵子(竹田恵子) 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (40265096)
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研究分担者 |
實金 栄 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (50468295)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高齢者 / スピリチュアルケア / 評価指標 / 看護師 / チームケア |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高齢者を対象としたスピリチュアルケアシステムの構築を図ることをねらいに、看護の独自性をふまえた高齢者を対象とするスピリチュアルケアの評価指標を作成することである。 平成26年度は、その第一段階としてまず、スピリチュアルケアの評価指標に関する理論的基盤の作成に向けた文献検討を行った。その結果、1.スピリチュアルケアの有効性の評価は対象者に期待される成果であるが、多くの場合その評価が困難であること、2.直接的効果・感情的効果・哲学的効果に分類することで対象者におけるスピリチュアルケアの効果を把握しやすいこと、3.スピリチュアルケアには2つの次元があり、看護師が日常的に支援するのは、対象者のスピリチュアリティを大切にした「基盤となるケア」であること、4.日々のケアの中で看護師がスピリチュアリティを意識しながら経験と自己研鑽を重ねることが効果的なスピリチュアルケアに繋がること、5.看護におけるスピリチュルケアの患者および看護師への効果の検討が課題であること、などが明らかになった。また、スピリチュアルケアの評価指標の検討において、研究が先行するケアリングの測定用具が参考になることが示唆された。 次に、スピリチュアルケアの評価指標に有用な要素の抽出を目的とした看護師を対象とする調査に先立ち、高齢がん患者への緩和ケア・スピリチュアルケアの豊富な経験を有するがん看護専門看護師や高齢者へのスピリチュアルケアを積極的に実践している臨床看護師とスピリチュアルケアに関する評価についての討論会を行った。スピリチュアルケアの評価について、高齢者(家族)へのケアの視点、チームの連携・協働の視点、看護師自身の視点の3つの視点からの検討が必要と考えられたが、高齢者へのスピリチュアルケアの現状は、看護師がスピリチュアルケアに難しさを感じており、チームで実践するに至っていないことが指摘された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スピリチュアルケアの評価指標に関する理論的基盤の作成に向けた文献検討については、論文化に至っていない。現在までの研究成果から、看護師を対象とした面接調査により事例を通してスピリチュアルケアの評価指標に有用な要素の抽出することは困難であることが判明し、一部計画の修正が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
スピリチュアルケアの評価指標に関する理論的基盤の作成に向けた文献検討については、論文化に向けて研究を継続する。 スピリチュアルケアの評価指標の試案の作成に向けて、平成27年度は以下1~3の研究を進める予定である。1.看護師を対象とした質問紙調査により看護師自身のスピリチュアルケア実践に対する評価指標を検討する。2.高齢患者を対象とした面接調査により高齢者患者のスピリチュアリティに関する経験と看護師へのスピリチュアルケアへの期待について明らかにする。3.フィールドワークにより、積極的にスピリチュアルケアを実践している施設におけるスピリチュアルケア実践プロセスについての知見を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画をしていた看護師を対象とした面接調査について実施に至っていないため、調査に係る旅費、謝金、音声のテキスト化等の調査経費が未支出となっている。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度実施予定であった看護師を対象とした面接調査を、看護師のスピリチュアルケアの実践評価に向けた看護師を対象とした質問紙調査に変更するとともに、新たに高齢者を対象とした面接調査を実施する。さらに、平成27年度計画していたフィールドワークを行い、スピリチュアルケアの評価指標の試案を作成する予定である。これらの研究を遂行するために、調査旅費、調査協力者謝品、音声のテキスト化、調査票郵送費、等に使用する予定である。
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