研究課題/領域番号 |
26463480
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
奥田 泰子 四国大学, 看護学部, 教授 (30330773)
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研究分担者 |
棚崎 由紀子 宇部フロンティア大学, 看護学部, 准教授 (50461356)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 入浴 / 事故予防 / 安全行動モデル |
研究実績の概要 |
高齢者の入浴事故は、環境が整っていない在宅に多く、また事故発生数は季節によって異なる。在宅における高齢者の入浴実態について聞き取りによる調査ではなく、測定用具を用いて、実際の入浴環境や生理作用への影響を明らかにした。地域在住の健常高齢者55名を対象に、夏季(7月~9月)と冬季(12月~2月)に、高齢者自身による測定でのデータ収集を行った。データ欠損のあるもの及び夏季と冬季の両方を測定できていないものを除き50名を分析対象とした。男性15名、女性35名、平均年齢72.2±4.5歳(65歳-83歳)であった。夏季と冬季での対象者の入浴方法には違いがあり、冬季は湯温が高くなり、長湯を好むものが増えている。入浴中の状態変化では数名ではあるが「頭がボーっとした」、「胸がどきどきした」と感じるものが増えていた。生理作用への影響では、血圧(収縮期血圧、拡張期血圧とも)、心筋酸素消費量に交互作用がみられ、季節間主効果もそれぞれあり、いずれも冬季に高値を示した。脈拍と体温には交互作用がなく、脈拍は時間の主効果のみあり、体温は季節間主効果がみられた。現在詳細な分析を行っているところである。疾病関連や実測湯温と血圧変動の関連等を分析し、過去の自研究で得られたデータとともに安全な入浴方法をまとめ、地域在住高齢者への入浴事故予防にむけた啓発活動を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
夏季と冬季に高齢者の実測による入浴の実態を明らかにするために、地域在住健常高齢者の協力が得られ、季節間の違いなど、分析できるデータ収集ができた。当初予定していた被験者数に比べると協力がえられた人数が少ないが分析には耐えうる人数である。
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今後の研究の推進方策 |
上記したように、現在得られたデータの詳細な分析により、在宅健常高齢者の安全な入浴について検討し、高齢者への広報を行う予定である。また、データ分析ができた段階で関連学会での発表や論文投稿をする。ピアレビューにより得られた意見をもとに、高齢者に対する安全な入浴についてのパンフレットを作成し広報する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今回の調査結果で、非常に高温で入浴している被験者がいた。従来の研究では安全な入浴温度での研究設計であったが、湯温、静水温との若年者の影響をデータベースとして高齢者の実態を述べたいと考えている。そのため、入浴実験に必要な機器の購入と解析用ソフトのバージョンアップ、被験者や実験協力者への人件費・謝金等が必要である。また、研究成果発表のために学会参加のための旅費や論文投稿、翻訳料が必要になる。地域在住高齢者への広報活動として、パンフレットの作成及び講演会の開催を予定している。本研究課題の最終年であり、報告書の作成も予定している。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費として、入浴による自律神経反応を測定するための機器購入と解析ソフトのバージョンアップ。入浴実験の被験者、協力者への人件費および謝金。旅費として学会参加及び発表、その他経費として、データ分析に関する専門家の指導助言を得るための費用、論文投稿及び翻訳料、地域在住高齢者への広報活動として、会場借り上げ費、広報用パンフレット作成。科研最終年のため報告書の作成。
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