【目的】中高年女性ケア従事者と夫の老親介護生活適応過程について、概念化と構造的な把握のために、老親介護体験をもつ看護職女性対象に質的記述的調査を行った。前年度までのインタビューデータと統合し分析を進めた。 【結果】新たにインタビューした対象は、老親介護体験をもつ看護職者2名(以下介護者。地域看護領域で就労するフリーランスの保健師1名、フルタイムの保健師1名)であった。これまでのインタビューデータと統合の結果、介護者夫婦の老親介護生活適応過程に関連する要因を、①文脈、②原因となる現象、③介在条件、④戦略、⑤帰結のパラダイムモデル(Corbin & Strauss1990)の枠組みで構造化した。 ①文脈は介護家族の調和の重視、老親の精神症状を話題にすることへの抵抗感、介護の見通し等、②原因となる現象は、子介護者夫婦と老親の関係性、老親の健康状態等の喪失、③介在条件は子介護者夫婦の経済状況、介護者の就労動機と就労形態、介護者の臨床判断力、夫の性役割規範意識等、④戦略として老親の要望・要介護状態への介護者夫婦の対応、介護者夫婦間の会話の程度、⑤帰結として介護者夫婦の老親介護・家事への分担・コミットの程度、介護者からみた夫のinterpersonal support機能として集約された。 ④戦略の、介護者夫婦間の会話の程度が徹底している場合を、夫婦間の精神的支え合いがなされていると捉えられた。 以上は、老親の子介護者夫婦の経済状況(夫のみの収入で賄える~妻・介護者本人も就労が必要)、介護者の就労形態(フルタイム、またはパート・フリーランス)、介護者の就労する施設(医療療養病床、一般病院、保健所・市町村等)、年代(40代、50代、60代)、老親との関係性[(良好・当たり障りのない程度に良好・不良)、(血のつながりの有無)]等で、多様性があると捉えられた。
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