最後の年は,補完代替療法研修会後の1年間のアロマセラピーの継続実施及びそれに対する研究者からのフォローアップによって,看護師・患者がどのように変化したのかを質的に明らかにした. データ収集方法はアロマセラピー開始1か月後から1年後までの期間に,毎月1回個別に参加者(看護師)にインタビューを実施した.インタビュー内容は,1か月間の活動状況,看護師及び患者の変化についてであった.分析は抽出した内容を類似性によりカテゴリ―に分類した. 結果として,参加者の語りは,「使用目的」「使用方法」「安全性」「看護師への影響や効果」「患者への影響や効果」「「スタッフへの波及」「困難感」「今後に向けた課題や意向」についてであった.精油の活用方法は,芳香浴(ディフューザー.スプレー,ティッシュやパッチの使用),ハンドマッサージであり,スプレーは即効の消臭となりスタッフ,患者に好評であった.看護師は活用継続のために,日々の病棟のスケジュールに応じて臨機応変に実施する,いつでも患者のニードに応じられるよう小型のボトルを持ち歩く,自分が楽しく取り組む といった工夫をしていた. 看護師の変化は,落ち着く,切り替えができる,仕事を楽しく感じる,患者との会話が増え,ゆっくりと話が聞けるようになったなどであった.患者の変化は,不眠の改善や落ち着いて座っていられる,活動への意欲が出て,会話をするようになったり,看護師の言葉に耳を傾け,相談をするようになる,自ら気分安定のためにオイルをもらいに来る,看護師にもマッサージをしようとするといった変化が見られた.看護管理者からはアロマセラピーが「患者と看護師の関係性を媒介するツールになる」「患者の主体的な反応を引き出す」「看護師の成長を促進する」「嗅覚から自律神経系に働きかけることを可能にする」などその効果を認める変化が多くみられた.
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