研究課題/領域番号 |
26463485
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
吉岡 伸一 鳥取大学, 医学部, 教授 (00191544)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | てんかん / 地域包括支援 / 訪問看護 / 訪問介護 / 多職種連携 / 難治例 |
研究実績の概要 |
てんかん患者の地域包括的支援における、訪問看護と訪問介護の実態と課題を把握するため、平成27年度に継続し、山陰地区(鳥取・島根両県)の176(島根86、鳥取90)の訪問看護ステーション事業所の施設管理者及び看護師と、368(島根223、鳥取145)の訪問介護事業所の施設管理者及び訪問介護職員を対象に無記名自記式調査を行った。訪問看護対象の調査は、52の訪問看護ステーション管理者から回答(回収率29.5%)が得られ、63名の訪問看護師から回答が得られた。訪問介護対象の調査は、96の訪問介護事業所管理者から回答(回収率26.1%)が得られ、240名の訪問介護職員から回答が得られた。てんかん患者の、訪問看護ステーションの利用は29施設(56%)で、訪問介護事業所の利用は34施設(35%)であった。また、てんかん患者を担当している、訪問看護師は25名(40%)、訪問介護職員は56名(23.3%)であった。てんかん患者の利用依頼を引き受けると回答した者は、訪問看護師は40名(64%)、訪問介護職員は87名(36.3%)であった。難治てんかん患者が地域生活を送るために、訪問看護や訪問介護などのサービス利用について、てんかん診療の医療機関との円滑な連携が訪問看護師及び訪問介護職員ともに最も多く、また、もっと活用する必要があるは、訪問看護師32名(51%)、訪問介護職員107名(44.6%)であった。 平成26年度に行った医師会会員の調査結果から、訪問看護あるいは訪問介護サービスを利用するてんかん患者の診療を行っている医師はそれぞれ12.6%、16.4%であったが、訪問看護や訪問介護を必要とする医師は41.0%と多かった。医療と訪問看護と訪問介護との多職種連携が、難治てんかん患者が地域で生活するうえで必要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
山陰地区の訪問看護師対象の調査票を回収し終えた。また、訪問介護事業所ならびに訪問介護職員対象の調査にあたり、調査対象者からの研究承諾を得るのに当初の予定より時間がかかり、倫理審査承諾時期が遅れた結果、調査票の期間内の回収が遅くなった。年度末にようやく調査票の回収をほぼ終えることができたが、データの詳細な解析が行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
訪問看護、訪問介護対象の調査結果と初年度に実施した医師会会員を対象に行った調査結果を詳細に解析し、地域包括的ネットワークの確立に向けた提言をまとめ、展開していく必要がある。また、本研究で得られた調査結果について報告書を作成し、山陰地区の医師会、訪問看護事業所ならびに訪問介護事業所に報告書を配布し、難治てんかん患者の地域包括的支援ネットワークの確立と展開に向けた啓発活動を行う予定である。さらに、調査結果を学会などで発表するとともに、論文にまとめ、報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
訪問介護事業所向けの調査票の回収率が配布数に比べて低く、郵送代に掛かる費用が低くなり、また、各事業所の訪問介護職員向けの調査票の配布数が低い結果となり、データ入力のための要員を必要としなくなった。さらに、訪問介護事業所ならびに訪問介護職員からの調査票の回収が当初の計画より遅れた結果、報告書の作成や、調査に協力した機関への報告書配布に掛かる郵送代を必要としなくなった。また、調査結果を論文としてとりまとめ、発表できず、次年度使用額が生じる結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画通り、医師会会員及び訪問看護事業所ならびに訪問介護事業所の調査結果をまとめ、報告書を作成し、調査に協力した機関へ報告書を配布するための郵送代に使用する予定である。また、今回の研究成果を国内の学会に参加して発表するとともに、論文としてとりまとめて学術雑誌投稿のため、使用する予定である。
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