難治てんかん患者が地域生活を送るために必要な地域支援体制の実態と課題を把握し、てんかん患者の地域包括的支援ネットワークなどの社会的基盤の確立を目指すことを目的として、医療機関・訪問看護ステーション・訪問介護事業所を対象に調査した。 平成29年度は28年度に継続し、訪問介護事業所に勤務する訪問介護員の調査結果を分析し、240人の訪問介護員のうち、訪問介護利用者にてんかん患者がいる者は56人(23.3%)であったが、てんかんに関する研修を受けた者は17人(7.1%)と少なく、てんかん患者担当の困ることは、てんかんに関する知識・技術等が少ないと訪問看護師と同様の結果が明らかとなった。 本研究期間全体を通じて、山陰地区の医師会会員の調査から、訪問看護、訪問介護のサービスを受けているてんかん患者を診察している医師はそれぞれ12.6%、16.4%と少なかったが、これらのサービスをもっと活用する必要があると思う医師が41.0%で、必要性を感じていることが明らかになった。山陰地区の訪問看護師、訪問介護員を対象の調査から、訪問看護及び訪問介護の施設のてんかん患者利用は56%、35%の施設で行われ、てんかん患者の利用依頼を受けられる施設も比較的多いことが分かった。しかし、てんかんに関する研修を受けた者は訪問看護師19%、訪問介護員7.1%と少ないことが明らかとなった。また、難治てんかん患者が地域生活を送るための訪問看護及び訪問介護サービス活用について、てんかん診療医療機関との円滑な連携や施設対応の患者情報の共有・発信が必要と感じていた。本研究結果から、難治てんかん患者が地域生活を送るためには、医療機関と訪問看護ステーション、訪問介護事業所との連携強化とともに、訪問看護師や訪問介護員に対するてんかんに関する教育の必要性が明らかとなった。
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