研究課題/領域番号 |
26463494
|
研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
スーディ 神崎和代 札幌市立大学, 看護学部, 教授 (40452990)
|
研究分担者 |
竹生 礼子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 准教授 (80433431)
御厩 美登里 札幌市立大学, 看護学部, 助教 (90707564)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 在宅死 / 在宅医療 / フィンランド / 北海道 / 啓発プログラム |
研究実績の概要 |
2016年度は、2015年度に回収・入力を完了したフィンランドL州と北海道の調査データの分析を実施した。フィンランド語の自由記載内容に関しては、意味内容に誤解がないかをフィンランド語を母国語とする協力者の支援で確認をし、分析を進めた。分析結果によると①L州住民は全年齢層において、在宅での見取りは可能であり,且自然であると考えている。また、必要な専門職者としてはか【訪問看護師】を一番に挙げている。②北海道民は【在宅での見取りは困難】と考えており、また、在宅での見取りを可能にする専門職者として【医師の存在】が最も重要であると考えている。北海道の対象者の多くが③訪問看護師の役割・在宅医療の情報がなく(得る場と方法の不足)在宅医療について誤解をしている現状が明らかになった。 2016年9月には、計画に沿って、ICTを用いた国立ラップランド大学と札幌市立大学をつないで【在宅療養・在宅死を可能にする社会を目指して】と題する国際シンポジウムを開催した。フィンランド側からはロヴァニエミ市訪問診療部医師・保健センター病院長のムスタモ氏、在宅医療機器会社副社長ムヌッカ氏、日本側から認定訪問看護師、および在宅向け医療機器製作会社技術者から本シンポジウムのテーマに沿った講演をしてもらい、続いて両国の参加者104名(20歳代―80歳代)で意見交換を行った。【事前に身近な人達と在宅見取りの希望】などについて明確にしておくことの重要性、在宅死だからこそ感じられる家族の死後の余韻、国が違っても人々の願いや思いは同じだと分かったが方略はことなると分かった、ICTを用いて遠方の国の人と簡単に意見交換ができることが不思議でもあり、経験できて良かった、などのポジティブな意見を多数得た。同シンポジウムのアンケート回収率は89.6%であった。また、フィンランド都市部の学生を中心に質的インタビュー調査を実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年度に計画をしていた大規模アンケート調査データクリーニング・フィンランド自由記載内容の正確な翻訳、データ分析・シンポジウム結果から得た【在宅見取り・死を可能にする】課題と要因の整理、シンポジウム報告書作成・発行(P1-34)、市民対象の啓発プログラムの骨子案検討を3月末日で完了している。加えて、①調査から導き出した【その時が訪れた時の本人の意思確認(在宅で最期を迎えたい)の重要性について国際学会において口演、加えて同学会シンポジストとしても参加、②2017年度開催予定の全国学会に抄録提出・採択済、③同学会(②)において【市民公開講座】開催に応募・採択済、また、③道内建築家・研究者らと共同で交流集会(北のケア環境 仮題)を企画しており、研究者としては【自宅での見取り】を意識したケア環境への提言をする予定。
|
今後の研究の推進方策 |
計画に沿って、市民を対象とした啓発プログラムの詳細を決定後、道内の都市部1か所、遠隔地1か所の自治体・在宅医療事業所の代表者許可を得て、9-10月に開催。でプログラムは2時間で構成し、在宅医療医師・訪問看護師・療養者家族を講師として迎える予定。プログラム展開実施に先立ち、地域住民への広報活動(チラシはすでに作成済で、自治体・民生委員などへの案内含)を5月に開始。日本在宅ケア学会での本研究の結果を発表(採択済)、また同学会において市民公開講座を開催予定【採択済】国際学会誌投稿準備。
|
次年度使用額が生じた理由 |
シンポジウム準備、スピーカー経費(特にフィンランド側)、ICT機器のレンタル費などを想定して、リサイクル消耗品の活用、自主的の申し出のあったボランティアの活用などを行うことで経費を抑えたが、実際はフィンランド側の講演者・ICT技術者が謝金を辞退したこと、また、機器は研究らが所有している機器を活用することが可能であることがICT専門家のアドバイスにより判明した為、経費は予定より抑えられた。最終年度となる2017年度にはプログラムを展開する地域への旅費、研究代表者の他大学への移動に伴いデータ収集・解析・プログラム展開に必須となるMobilePC購入が事前に想定できたため、意図的にコストコントロールを行った。
|
次年度使用額の使用計画 |
2017年度はプログラムを展開する各地域での参加者への謝品、会場の借り上げ代金、アンケートのテープ起こし代金、旅費、最終年度報告書作成、論文投稿費、Mobile PC、必要に応じてルーター購入を想定している。
|