本研究は、小規模多機能型居宅介護(以下、小規模多機能)における看護の特性を明らかにし、利用者およびその家族のQOLを高める看護プログラムを作成することを目標とした。 1年目:小規模多機能における看護師の活動を明らかにすることを目的として全国の小規模多機能の看護師に面接調査を行った。 2年目:1年目の調査および先行調査から16名の面接調査のデータを分析した結果、小規模多機能における看護師の活動内容として3カテゴリ、58項目が抽出された。 3年目: 1)2年目の調査で抽出された看護師の活動58項目について、全国の小規模多機能1000施設を対象に、実施状況と必要性についての質問紙調査を実施した。看護師の活動のうち、必要度が高かったのは「集団感染を予防するための対策」、「症状、バイタルサインの判断から緊急受診につなげる」等であり、いずれも看護師が主体となって行う活動に属していた。活動の実施割合が高かったのは「症状、バイタルサインの判断から緊急受診につなげる」、「服薬管理の工夫」等だった。看護師は利用者が示した変化から病状をアセスメントして受診の必要性を判断し、対処する緊急対応を行うことが求められ、実際に行っていた。また、個々の利用者に合わせた看護上の工夫のみでなく、介護職への指導や施設における集団感染対策など幅広い役割を担っていることが示された。2)この調査結果をもとに活動指針案を作成し、その妥当性および指針案の各項に関して自施設で行っている工夫について、これまでの調査の対象のうち参加を表明した看護師に書面で確認した。17名の看護師より回答があり、これをもとに、看護師主体の活動11項目、他職種・他機関と共同して行う活動13項目の全24項目からなる小規模多機能の看護師の活動のチェックリストおよび各項目の具体例から構成された看護プログラムを作成した。
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