研究課題/領域番号 |
26463497
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研究機関 | 岐阜県立看護大学 |
研究代表者 |
石川 かおり 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授 (50282463)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地域基盤型精神看護 / 地域の課題 / 地域の強み / 専門職連携 |
研究実績の概要 |
1)精神障害者の退院支援・地域生活移行支援における現状の専門職連携上の困難とコツを整理し今後の研究課題を検討することを目的として、文献検討を行った。精神障害者の退院支援・地域生活移行支援における専門職連携に関する研究結果や実践内容が具体的に記述されている文献19編を分析対象とし、専門職連携上の困難とコツを整理した。 2)研究フィールドのA町で、精神障害者の地域生活を支援している多領域の専門職らと住民のメンタルヘルスをサポートする上での地域の課題と強みに関するグループディスカッションを実施した。さらに、診療所の家庭医と看護師、訪問看護ステーション看護師、地域包括支援センターの保健師とケアマネジャーにインタビューを行った。メンタルヘルス上の課題として「高齢者のメンタルヘルス上の問題」「子どものメンタルヘルス上の問題に関して学校との連携がない」「引きこもりの人々をサービスにつなぐことが難しい」等、サポート上の課題として「近隣市町の精神科病院との連携が不十分」「多機関・多職種で連携は個人の力量によることが多くシステム化していない」「これまでのサポート活動の成果が可視化されていない」等、A町の強みとして「資源が少ないからこそ連携しやすい」「資源が少ないからこそ各専門職が工夫している」「他に人がいないため、時には制度の枠組みを超えてチャレンジする」等が明らかとなった。 3)地域包括支援センターの保健師らと協働して、A町内の専門職を対象にワールドカフェによる研修会を開催した。訪問看護師、ケアマネジャー、介護職、就労移行支援事業所の相談支援専門員、ヘルパー、薬剤師、福祉課職員、民生委員、診療所医師、ソーシャルワーカーなど60名以上が参加し、活発な意見交換を通して互いの専門性を知り、精神障害者とその家族の地域生活支援のあり方について広く意見交換する機会とすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度実施を予定していた内容のうち、A町内の支援者を対象としたインタビュー調査について、当初予定の対象者すべてにインタビューが実施できていないため、引き続きインタビューを継続する。また、既存の人的・社会的な資源マップの作成が実施できていないため、作成する必要がある。 倫理審査の承認が7月であったため、実質的に8月以降の開始であったこと、またフィールドとなるA町の協力者と協働して、課題を見つけ具体的な方法論を検討しながら進めるアクションリサーチの手法を用いているため、先方の都合に合わせながら進めていることと、フィールドの状況に合わせて実施内容に少々の変更があったことなどが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
アクションリサーチの手法に則って、A町の研究協力者と共に、A町の現状に合わせながら最適な方法を検討しながら研究を遂行する。 特に平成27年度からは、研究フィールドとなるA町の看護職である地域包括支援センターの保健師および総合病院に附属する訪問看護ステーションの訪問看護師を研究協力者として、さらに多領域多職種の人々を巻き込みながら協働して研究をすすめる予定である。 保健師と協働して取り組むこととして、精神障害者の地域生活支援に向けてこれまで保健師として取り組んできた活動を分析・評価してその成果と課題を整理する。訪問看護師と協働して取り組むこととして、現在支援している精神障害者の利用者への訪問看護の内容について分析・整理し地域生活の継続を促進する看護について検討する。 また、A町内の多領域の多職種を対象として、平成26年度に明らかになったA町内の強みと課題を活かした研修会を連携研究者および保健師らと共に企画し、実施する予定である(年3回の予定)。 なお、当初の計画で挙げていた国内の地域生活支援に関する調査および英国の地域精神看護モデルに関する調査に関しては、まずは文献等から情報収集から開始することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
特に、旅費については、先に述べたように研究フィールドA町の研究協力者の都合等を優先してすすめたため、A町への旅行回数が当初計画よりも少なくなったこと、A町以外の国内のフィールド調査を実施しなかったこと、3月実施した旅行旅費の決算が年度内に済んでいないことなどが理由として挙げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に研究フィールドA町の現地協力者と共に研究をすすめていく体制を構築することができたので、平成27年度はA町を訪問する回数を増やして密な連携を図っていく予定であるため、その旅費として使用する。また、A町の専門職者らと協働して研修会を年に3回実施する計画であるのでその開催のための費用として使用する。さらに平成26年度の研究成果の発表旅費として使用する予定である。
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