研究課題/領域番号 |
26463497
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研究機関 | 岐阜県立看護大学 |
研究代表者 |
石川 かおり 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授 (50282463)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地域基盤型精神看護 / 地域の課題 / 地域の強み / 専門職連携 |
研究実績の概要 |
1)多職種を対象とした研修会の企画・実施 平成26年度の研究成果を踏まえて、研究フィールドであるA町の保健師らと共に研修会を2回企画・実施した。内容はメンタルヘルスに関連する事例検討と精神科医によるミニレクチャーとし、1回目は子どものメンタルヘルス、2回目は思春期のメンタルヘルスに焦点を当てた。対象者は、A町および近隣の町村の医療、福祉、介護、養育、教育等に携わる者で、参加者数は1回目は45名、2回目は58名であった。研修会終了後に自記式の質問紙を実施し(有効回答数n=62)、研修会を通して得たことには「町内の多くの他専門職と対場や職種の違いを超えて意見交換や情報交換をした」「町内のサービス資源や関わる人々の存在を知った」「住民の立ち場で支援する民生委員の活動や困難を知った」「連携して支援するための具体的な方法を検討できた」「メンタルヘルスに問題を抱えるケースの捉え方や支援方法について新しい視点や知識を得た」など、研修会を通して感じた課題には「精神科領域の専門家と地域の支援者が連携する体制をつくる必要がある」「子どものメンタルヘルスのためには学校関係者と地域の支援者間で連携する必要がある」「患者だけでなく家族や近隣住民とも連携して支援する必要がある」「町内で連携して支援するためのネットワークを広げるために、ワークショップを継続する必要がある」などが含まれていた。研修会の満足度については5段階で確認し、「大変良い」「良い」と回答した割合は、1回目は100%、2回目は97%であった。 2)精神障がい者の利用者への訪問看護の内容の抽出 A町内の総合病院に附属する訪問看護ステーションの看護師と協働して、精神障がい者の利用者への訪問看護の内容について、抽出し、分析・整理した。現在2事例の分析が終了し、1事例の分析を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アクションリサーチの手法に則って、A町の研究協力者らと共に、町の現状や研究協力者らの現状に合わせて、最適な方法を検討し、研究計画を微調整しながら研究をすすめることができている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度も、アクションリサーチの手法を基に、A町の研究協力者らと共に、町の現状や研究協力者らの現状に合わせて、最適な方法を検討し、研究計画を微調整しながら研究をすすめる。地域包括支援センターの保健師らと行っている連携システムの構築に向けたは、平成27年度の実績を踏まえて、今年度は精神障がい者の地域生活支援における困難事例の検討会を支援関係者間で実施することを計画している。また、訪問看護師と行っている、精神障がい者の利用者への訪問看護の内容の抽出に関しては、3事例目の分析修了後に統合分析を行い、精神障がい者の地域生活の継続を支援するための看護の要素を明らかにする予定である。これらの成果を踏まえて、連携研究者およびフィールドの共同研究者らと共に、まずはA町における看護職(保健師、訪問看護師等)の役割等について検討したのち、地域基盤型精神看護モデルの素案を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究フィールドで開催する研修会を当初3回と予定していたが、現地の都合や研究協力者との調整のなかで2回の開催となったため、その分の旅費と経費が不要となったため。 また、平成27年度のは謝金の支払いの必要が生じなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
国際学会および国内学会での平成27年度の成果報告を予定しているため、その旅費として使用する予定である。また、研究フィールドとの打ち合わせ、事例検討会の実施、地域基盤型精神看護モデルの素案についての検討会議のための旅費等として使用する予定である。
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