研究実績の概要 |
本研究は、在宅療養者の予期せぬ入院回避を揺るぎないものとする訪問看護指標の開発と実践評価可能な介入モデルの構築を図る基礎的研究を行う計画である。 平成28年度は、在宅療養の要となる在宅療養支援診療所が、どの程度、訪問看護事業所と連携をし、住み慣れた地域で安心して暮らせることに貢献しているかを調査した。 調査場所は自宅死率が国内でも低い佐賀県とし,佐賀県の在宅療養支援診療所/病院の活動状況の経年変化から,死亡場所に影響を与える要因を検討した. 九州厚生局に佐賀県における「在宅療養支援診療所に係る報告書」の開示請求を行い,同局に登録されていた在宅療養支援診療所2010年(140件),2011年(145件),2012年(147件),2013年(154件),2014年(158件)の活動状況に関する情報を収集した.なお,統計解析は,経年変化は対応有のt検定,死亡場所はステップワイズ法による重回帰分析を行った.有意水準5%未満とし,SPSSver23.0で行った. 2010年から5年間において,佐賀県の二次医療圏すべての地域において自宅死は増えていなかった.死亡場所に影響する在宅療養支援診療所/病院の活動は,訪問看護との連携が多いほど,自宅死(p<.001)での死亡が増えていた. 本調査結果では,在宅療養支援診療所/病院と訪問看護との連携が増えることにより,佐賀県の自宅死が増加することが示唆された.
|