研究課題/領域番号 |
26463501
|
研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
瓜生 浩子 高知県立大学, 看護学部, 准教授 (00364133)
|
研究分担者 |
野嶋 佐由美 高知県立大学, 看護学部, 教授 (00172792)
森下 幸子 高知県立大学, 看護学部, 准教授 (40712279)
坂元 綾 高知県立大学, 看護学部, 助教 (90584342)
岩井 弓香理 高知県立大学, 看護学部, 助教 (40633772)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 家族支援 / 高次脳機能障害 / Family Hardiness |
研究実績の概要 |
平成27年度は、平成26年度に引き続き、高次脳機能障害者と共に生きる家族が、回復期・維持期に受けた専門職者およびピアサポートグループによる家族支援の内容と効果、時期や職種による違いを明らかにするという研究目標に取り組んだ。 ピアサポートグループの活動に参加し、専門職者や運営者が行っている支援について観察および聞き取り調査を実施した。その結果、不可解な当事者の体験を解説し伴走する姿勢を育む、当事者と家族の歩みの軌跡を伝え光を与える、困り事を引き出し立ち向かう術を伝授する、当事者の成長を言語化し力づける、安心して思いを吐露できる場をつくる、などの支援が見出された。家族は高次脳機能障害の症状により日常生活の様々な面で困難感を抱き、目に見えにくい障害ゆえに効果的な対処方法が見出せない中で、専門職者や運営者の経験に基づく支援により、当事者の視点から障害を理解し、膠着状態から抜け出すヒントを得ることができていた。また、将来が見通せず不安な中で、先達の体験や姿に触れることで安心感と希望を得ていた。さらに、体験を共有できるピアの存在と場があることで、ストレスを吐き出し、当事者と共に歩み続けるエネルギーを得ることができていた。 ピアサポートグループでの支援に関する上記の知見を基に、さらに対象者の範囲を広げ、支援内容を具体的にするとともに、受傷後の時期ごとに支援内容を整理していくために、高次脳機能障害者と共に生活している家族を対象とした個別面接と、支援を行っている専門職者を対象とした個別面接を行うことにした。現在、そのデータ収集を進めているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成26年度に引き続いてピアサポートグループでの参加観察および聞き取り調査によるデータ収集と分析を行うことを優先したため、家族および専門職者を対象とした個別面接の実施スケジュールが大幅に遅れた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、家族および専門職者を対象とした個別面接によるデータ収集と分析を継続して進める。ピアサポートグループは様々な専門職者が参加していることが多く、また運営者は作業所等の支援施設の運営に関わっていることが多いため、ピアサポートグループを通じて研究協力依頼を行い、家族を対象とした面接調査と専門職者を対象とした面接調査を並行して行うことで、効率的にデータ収集が行えるようにする。 また分析は、これまでに行ったピアサポートグループの参加観察と聞き取り調査によって得た知見を軸にして、それに個別面接のデータを加えていく形で進め、家族支援プログラム案を作成する。 作成した家族支援プログラム案の評価は、それまでに研究協力を得たピアサポートグループやその関連施設、参加している専門職者を中心に依頼し、スムーズに運ぶように工夫する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
県内のピアサポートグループでの参加観察と聞き取り調査を中心に行ったため、旅費がほとんど発生せず、多額の未使用金が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
家族および専門職者を対象とした個別面接を行うための旅費、家族支援プログラム案に対する意見聴取を行うための旅費、面接データのテープ起こしと資料整理のための賃金、研究協力にかかる謝金、研究に関する最新の知見を得るための学会や研修会の参加にかかる旅費・参加費などに使用する予定である。
|