研究課題/領域番号 |
26463509
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
小谷野 康子 順天堂大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50307120)
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研究分担者 |
服部 真理子 武蔵野大学, 看護学部, 准教授 (50336492)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 弁証法的行動療法 / 感情調節困難 / 認知行動療法 / マインドフルネス / 介入 / グラウンデッド・セオリー |
研究実績の概要 |
平成27年度の実施計画は、平成26年度に引き続き弁証法的行動療法(DBT)スキルト訓練の効果分析について、質的に継続比較分析を行いつつ日本の実情に即したプロトコルを開発することであり、患者用テキストと実施者用テキストを作成することであった。弁証法的行動療法は1993年にマニュアルが開発されたが、2013年に20年ぶりの改訂版が出版され、研究者はこれを入手した。邦訳が待たれるところであるが、これに先行してDBT開発者であるLinehanから改定版マニュアルの研修を受講し翻訳にかかわっている心理学者から新たな治療技法の情報を収集することができた。新しいマニュアルは、マインドフルネスと情動調節をより強化した内容となっており、研究目的のプロトコルの開発に大変有用であった。特にいくつかのマインドフルネスの方法は、研究者が臨床で実際に活用し、スキル訓練参加者の反応も良好であった。 スキル訓練の効果分析は、インタビューデータの3例目を重ねることができ、GTAのプロパティとディメンションを増やして先行の分析と合わせたスキル訓練の有効性が確認できた。DBT本来の治療法は、個人療法と集団療法によるスキルトレーニング、24時間電話対応(コーチング)にチームコンサルテーションが加わった包括的治療法であるが、医師による個人療法と研究者が実施しているスキルトレーニングの非包括的な組み合わせでも効果の有効性が認められた。日本の治療体制ででは24時間の電話対応は困難なため、スキルトレーニングを有効に機能させることが求められる。 平成28年度は、DBT改定マニュアルも参考にした我が国の実情に合わせたプロトコルを作成し完成を目指す。また、インタビューデータを増やし質分析の妥当性を高めることを目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
20年ぶりに改訂された弁証法的行動療法の2013年版改定マニュアルに関するスキルトレーニングの情報収集ができ、これを参考に実際の臨床の場で取り入れてみることができた。スキルトレーニング参加者の反応は概ね良好であった。より活用の幅が増えるプロトコル作成に向け準備することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、DBT改定マニュアルも参考にした我が国の実情に合わせたプロトコルを作成し完成を目指す。また、GTAによる質的な効果分析のデータを増やし、より信頼性と妥当性を高めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会参加のための旅費について、平成27年度は日本で開催された国際学会で発表したため高額な渡航費用がかからなかった。また、報告可能な成果を英文論文にする予定であったが、次年度に執筆することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、成果発表のため国際学会発表を予定しているため、渡航費用としての支出と、英文論文を作成予定であるため翻訳費用とする。
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