研究課題/領域番号 |
26463510
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
山内 典子 東京女子医科大学, 大学病院, 看護師 (10517436)
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研究分担者 |
田中 美恵子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (10171802)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | せん妄 / 急性期病院 / 段階的ケア・モデル |
研究実績の概要 |
本研究は、せん妄ケアへのニーズの高い循環器科におけるせん妄治療・看護に「段階的ケア・モデル」を枠組みとした多職種による段階的かつ重症度別の「せん妄ケア介入システム」を開発することを目指している。 初年度は、循環器科に特化せず、国内の先駆的にせん妄ケアを普及している急性期病院の認定看護師やせん妄看護師に対して、インタビュー調査を行った。内容は、①看護師へのせん妄のスクリーニングや重症度ツールの導入・実践 、②看護師のせん妄の予防ケアの導入・実践、③看護師・医師へのせん妄ケアの教育、④主科部署へのせん妄に関するコンサルテーション、⑤主科部署が行うせん妄治療・ケアの基準(例:コンサルテーションの目安、処方プロトコルなど)について、①行おうとした背景(動機)、②これまでの取り組みの手順・連携、③取り組みを促進したもの、④取り組みを困難にさせたもの、⑤現在の状況、⑥今後の課題の視点とした。全12施設に対するインタビューを計画しており、現在データ収集の途中段階にある。 また、調査者らの所属する施設において、段階的ケア・モデルのレベルⅠあたる病棟看護師を対象とした21名の看護師に対して、グループディスカッションを行った。テーマは、所属する部署における「せん妄ケアの現状および困り」「せん妄ケアの改善策」とした。ここで得られた内容をデータとし、調査者らが内容分析を行った。 結果、前者については「知識不足と実践の困難さ」「連携・共有の困難」「看護師の感情と葛藤」の3つのカテゴリーが抽出された。また、後者では「せん妄ケアの基準化・統一化」「情報の共有・検討」「せん妄予防(遷延化予防)」「リソースの活用」「知識の習得」「知識の普及」「取り組みの評価」「倫理面に配慮した安全管理対策」「医師のせん妄に対する無関心さへの働きかけ」の9つのカテゴリーが挙げられた。現在、これらの結果に対して分析段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「せん妄ケア介入システム」を開発にあたり、当初は予定していなかった先駆的な活動を行ってきた他施設への調査結果は、レベルⅠ~Ⅳの役割を明示化する上で役立つ内容であった。計画通り、調査者が勤務する施設におけるモデルケースのデータをさらに集積することにより、これらを統合してシステムを描くことが可能と考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、前半に他施設へのインタビュー調査と分析を終え、後半には調査者の勤務する施設におけるせん妄患者への介入の実態およびモデルケースについてデータ収集、分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度にパソコン等の機器を購入する予定であったが、所属する部署に備え付けのパソコンの使用が可能であった。平成27年度より、調査者3名が施設内において職場異動をするため、ノート型のパソコンが必要となる。そのため、購入時期をずらしたという経緯がある。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度4月にノート型パソコン3台購入する。 また、4月~7月に他施設(6施設)インタビュー調査諸費用(各2名ずつ)として使用する。また、施設内のせん妄の実態、モデルケースの調査における調査用紙印刷費、データ入力費に使用する。これらを平成27年度10月以降の看護学会や精神医療領域の3つ程度の学会で報告予定であり、その際には3名分、本研究費より支出する。
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