研究課題/領域番号 |
26463510
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
山内 典子 東京女子医科大学, 看護学部, 看護師 (10517436)
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研究分担者 |
田中 美恵子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (10171802)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | せん妄ケアシステム / 急性期病院 / 看護師 / 多職種連携 |
研究実績の概要 |
【目的】本研究では、急性期病院におけるせん妄ケアのシステムを構築するための要素と過程を明らかにし、今後のせん妄ケアの発展のための示唆を得ることを目的とした。 【方法】平成27年3月~12月、組織的にせん妄ケアの普及を図る看護師に対して、所属する施設のせん妄のアセスメント・評価ツール、予防ケア、教育、チームを含む支援体制、ケアに関するカンファレンスについて、半構成的面接調査を行った。研究デザインは質的帰納的研究とし、得られたデータについて内容分析を行い、せん妄ケアのシステム構築に関連する共通の要素、特徴的な要素を抽出し、全体の過程を構造化した。所属大学の倫理委員会で承認を受けた。 【結果】対象施設の病床数は350床~1400床であり、研究協力者は18名、年齢は30~50歳代、専門看護師、認定看護師の資格を有する管理者およびスタッフナース、看護教員であった。内容分析の結果、34のサブカテゴリーが抽出され【せん妄ケアの現状への問題意識と改善への意欲・関心】【多部門との協働による組織的なせん妄対策の改革への推進力】【せん妄対策の包括的なシステムの導入と運用】【システムの定着に向けた同職種・他職種チームの有機的な協働】【実践知の共有とケアの効果の実感】【せん妄ケアの質の維持の困難への懸念】【エビデンスの集積と先駆的な研究の取り組み・公表】の7つのカテゴリーに集約、構造化された。 【考察】 急性期病院におけるせん妄ケアのシステムの構築は、専門看護師、認定看護師の主導のもと複数領域の同職者、多職種、多部門との協働を図り、包括的かつベッドサイドに即したせん妄ケアの教育と実践を推進すること、さらにケアの効果の実感と評価を繰り返しながら、現場に質の高いケアを定着させる過程をとることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は「循環器科における段階的ケア・モデルに基づくせん妄ケア介入システム」の開発を目的としている。実際に研究を開始したところ、全患者のせん妄の有無および重症度を把握するにあたり、看護師にせん妄評価スケールの教育を行い、導入と評価を図る必要性を生じた。そこで、看護師における「せん妄ケア介入システムの開発」の目的はそのままとし、方法を大幅に修正した。方法として、既に組織的にせん妄ケアのシステムを構築している急性期病院の看護師に対してインタビュー調査を行い、そこに必要な要素と過程について分析することした。現在、インタビュー調査、分析を終え、精神医療と看護関連の学術集会において報告した段階である。なお、結果からシステム構築の上で看護師へのせん妄ケアの教育的な支援は重要な要素であることが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
調査により明らかとなった急性期病院におけるせん妄ケアのシステムの構築に必要な要素と過程を参考に、看護師における「せん妄ケア介入システムの開発」を図ることを本年度の課題とする。また、得られた結果を論文にまとめることも課題とする。なかでも、教育的な支援については、既に平成27年度より循環器科において継続的なせん妄ケアの教育プログラムを実施しており、今後、その前後において看護師のせん妄の知識・せん妄ケアの実施度・自信を調査し、その効果について、比較検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
量的データの入力作業費用、統計学的解析費用分が翌年度に繰り越されたため
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次年度使用額の使用計画 |
3月に回収した看護師を対象に行った質問紙調査の入力、解析作業の費用を持越しとして、2月(最終調査ポイント)までに計画を実施する
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