平成28年度は、「文化的感受性を備えた対話を基盤としたリカバリー志向の地域精神看護援助仮モデル」を精神科訪問看護の実践の中で活用していただき、看護援助内容を示したチェックリストへの記載と活用後の半構成的インタビューを基にモデルを精錬することに取り組んだ。 精神科訪問看護の経験が1年以下である8名の研究参加者に対して、約90分の研修を実施し、仮モデルの概要と6つの構成要素が示す看護援助について詳しく説明した。そして、精神科訪問看護の実践において2カ月間仮モデルを活用していただくことを依頼した。また、活用期間中に仮モデルの援助内容を示したチェックリストに実施した内容を記載することをお願いした。 活用期間後、研究参加者に半構成的インタビューを個別に実施し、仮モデルの活用のしやすさや難しさ、感想についてうかがった。インタビューデータは仮モデルの構成要素毎に整理し、分析した。また、活用期間中に記載していただいたチェックリストも構成要素毎に集計し、分析した。 これらの分析に基づいて、各構成要素の内容および構成要素の関係性について再検討し、モデルを精錬した。 その結果、「文化的感受性を備えた対話を基盤としたリカバリー志向の地域精神看護援助モデル」は、【看護師自身の実践と精神医療文化の影響の不断の振り返り】という構成要素が含まれる第1階層と、【利用者が権利と責任を保持できるパートナーシップの構築】、【利用者主体の対話を通した楽しみと成長の支持】、【医学モデルに偏らない症状マネジメントと生活への支援】という3つの構成要素が相互に影響し合う第2階層、そして【リスクを伴う利用者の希望を支持するチーム文化の醸成】、【利用者と利用者にかかわる人々のつながりの支持】という2つの構成要素が影響し合う第3階層という3つの階層によって構成され、これら3つの階層が相互に影響し合う構造として示すことができた。
|