研究課題/領域番号 |
26463517
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
西池 絵衣子 慶應義塾大学, 看護医療学部(信濃町), 助教 (90559527)
|
研究分担者 |
末安 民生 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70276872)
熊崎 恭子 大阪大学, 医学系研究科, 招へい研究員 (90632654) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 精神看護 / アウトリーチサービス / 教育プログラム / リフレクティング / 対話 / オープンダイアローグ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、新たに地域で効果的なアウトリーチサービス(以下、アウトリーチ)を実施していくための主としてスタッフ教育に重点を置いた包括的教育プログラムを開発することである。 日本におけるアウトリーチでは、支援者の職種や経験は多様であり、国等が定めた地域サービスに従事するための一貫的な教育システムはない。そこで、先駆的に成果を示し、方法として多様な手法を定着実施しているフィンランドの数か所で調査を行った。特に、西ラップ地域で限定的に実践されている精神科急性期地域包括治療システム(「オープンダイアローグ(以下、OD)」では、危機にある「患者」の自宅に関係者とともに集まって対話することで、残遺精神症状の減少や未治療期間が短縮したとして注目されている。そのため、支援者がどのように教育を行っているかについて、精神科地域医療の維持定着の観点からインタビューを実施しプログラムの内容とスタッフ教育の効果的関係性を検討した。 アウトリーチでは、対象者の生活の場に出向くため、対象者の生活における地域や家族との関係性の理解を得るために支援者の姿勢や問診ではない対話が求められる。ODにおいては、家族療法の一治療法であるリフレクティング・プロセスの教育の充実が極めて有用に活用されていることからこれらを取り入れプログラムを作成しその一部実施し結果を検証した。対象者の目の前にして、専門職が見通し、アセスメントや計画をありのまま伝えることに対しては否定的な意見もあったが、一方で対象者の立場に立つと専門職の意思や認識が伝わることによって最初から専門職と対象者と関係者が協力して回復への道筋をつくることになることは経験がないだけに効果が期待できるという肯定的な意見も得られた。今回の結果を踏まえてより多数の地域精神科医療従事者への理解と支援技術の向上を通して回復の精度を高められるのではないかと考えられた。
|