本研究の目的は、わが国で急速に増加している65歳以上の独居高齢者(以下独居)と高齢夫婦世帯は、わが国の在宅ケア体制の中では、見取りが困難とされている対象である。このような困難事例について「在宅ケアにおける看取りケアシステムモデル」(を開発することを目的とする。1)国内事例の後ろ向(retrospecitive)死亡事例調査によりニーズ・ケアアウトカムを分析し、学会発表をした。当該事例の社会資源利用状況も分析した。2)このような困難事例に外国でどのようなシステムかを研究した。29年度に困難事例に普及可能なエンドオブライフケアのシステムを検討した。これらの困難な実践例に基づいて厚生労働省へ「ケアシステム」と「訪問看護料金」に関する提案をするつもりであったが、厚生労働省への提案は30年度末にずれ込むことになったので提案はしていないが提案書は作成した。27年1月~29年3月に在宅ケアで看取った事例を調査し、学会27年3件発表済、28年5件発表済である。しかし、28年4月までに独居で看取った事例は52例しかなく不足したので調査を29年3月まで継続して合計90例調査できた。調査が遅れたためにこの研究を1年間延長して29年デンマークのコペンハーゲン市の在宅ケアシステム開発責任者であったLene Hollenerに面接してデンマークのケアシステムの工夫を聴取した。看取り前には看護職が泊まり込みでケアができる制度があることから、わが国では看護師のケア時間延長のケア体制が必要と考える。また家族の介護休暇の6ヵ月間は有給であることはケアシステムとして重要である。なお日本と文化背景が似ている韓国におけるエンドオブライフケアの事例の実態調査を行った。
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