研究課題/領域番号 |
26463519
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
田中 正子 広島国際大学, 看護学部, 准教授 (60515807)
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研究分担者 |
川井 八重 広島国際大学, 看護学部, 教授 (30314991)
河野 保子 広島文化学園大学, 看護学研究科, 教授 (80020030)
藤本 千里 広島国際大学, 看護学部, 准教授 (80515908)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 在宅高齢者 / QOL / 医療依存状況 / 葛藤 / 生活充足 |
研究実績の概要 |
質問紙による調査研究を実施した。対象は65歳以上の何らかの医療管理を必要とする在宅療養者108名、及び比較対象群として地域で生活している健常高齢者130名であった。調査内容は、背景、医療管理状況、家族状況、身体状況、心理状況、社会状況、生活状況であった。調査方法は在宅療養者に対して訪問看護ステーション等の協力を得て対象者の選定を依頼し、内諾の得られた療養者宅に訪問し再度研究者から研究目的等について説明後、同意書を得て聞き取り調査を実施した。健常高齢者に対しては、事前に老人会やサークル活動等の責任者に研究目的等を説明し承諾を得た。会合時等に参加者に対して調査全般について説明し、調査用紙を配布後、後日郵送していただき、郵送されたことにより同意を得たものとした。 健常高齢者は男性46名(35.4%)、女性84名(64.6%)であり、平均年齢は71.38±5.94歳であった。他者交流は5割の者が十分交流していた。身体症状の有る者は84名(64.6%)であった。QOLの平均値は8.80±2.84、うつの平均値は0.96±1.19、自己効力感の平均値は50.67±9.85等であった。地域在住高齢者のQOLは、自己効力感から正の影響を、葛藤状況及びうつから負の影響を受けていた。また間接的に、葛藤状況を介して転倒から負の影響を受けていた。この結果については、2015年7月に開催される日本在宅ケア学会で発表予定である。 在宅療養者は男性56名(51.9%)、女性52名(48.1%)であり、平均年齢は80.16±8.5歳であった。介護度は要介護2が最も多く20名(18.5%)、次いで要介護1及び3が18名(16.7%)であった。データ分析後、日本看護科学学会の研究発表に応募予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健常高齢者については順調に協力を得られ、分析結果まで終了しているが、在宅療養者については協力を得るのに日時がかかった。調査は2月までに終了したものの、他の日常業務等に追われ現在まだ分析途中であるが、近日中に終了させ、学会発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
医療依存状況にある在宅高齢者の療養生活上の葛藤について、事前に了解の得られた療養者に対して個別訪問により質的研究を行う。結果は内容分析を行い、カテゴリーを抽出する。その後平成26年度に得られた結果を基に、関連性を検討する。 対象者は要介護度1~3で、認知障害がなく会話可能な65歳以上の在宅療養者10名とし、調査期間は平成27年5月~平成27年10月、内容は在宅療養者の療養生活に対する葛藤概念の抽出である。半構造化面接を行い、「在宅療養者の療養生活への思い」「今まで生きてきた人生」についてナラティブな語りとして把握する。帰納的推論により葛藤概念を抽出し、概念の構造化をする。方法は訪問看護ステーション等の協力を得て、対象者の選定をお願いし、研究者が在宅療養者宅に赴きNarrative approachを実践する。Narrative approachは、研究者が在宅療養者と対面し「療養生活への思い」という質問から始め、次に「今まで生きてきた人生について」自由に想起してもらう。語りの内容は本人の承諾を得て録音する。Narrative approach実施中に、語りの妨げにならないよう参加観察法を用いてフィールドノートを作成する。フィールドノートは意図的な項目として、語ることによる表情及び動作の変化、重要と思われる語りの事実の2点とし、語りの終了後に研究者が感じたことを追記する。語りに要する時間は60分程度とする。情報が不十分な場合は、面接回数を増やす。
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