研究課題/領域番号 |
26463520
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研究機関 | 日本赤十字広島看護大学 |
研究代表者 |
戸田 由美子 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (60325339)
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研究分担者 |
梶川 拓馬 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 助手 (70614519)
磯野 洋一 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 助教 (50614517)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 患者アドボカシー / 精神科疾患 / 精神科看護師 / 質的研究 |
研究実績の概要 |
初年度の目的は、広島県内精神科病院の看護師へ患者の権利と利益を守るための「患者アドボカシー」看護実践を実施する上での困難さやどのようなシステムやネットワークがあれば、実施がスムーズにいくかについて調査し、看護ネットワーク広島モデル開発の基礎資料とすることである。広島県内の精神科看護の質向上に貢献するとともに、全国の精神科看護ネットワーク作りのモデルとして寄与する意義があると考える。 そこで、本研究に同意の得られた精神科経験年数5年以上の看護師11名に面接調査を実施し、質的帰納的な分析を行った。 結果、1.協力者の概要、精神科経験年数5年以上の看護師11名で、女性7名、男性4名、平均年齢51.18歳SD10.46、精神科経験年数平均19.82年SD7.79であった。2.【患者の権利と利益を守るための「患者アドボカシー」看護実践を実施する上での困難さ】として、1)身体合併症による他院の受け入れの悪さによる不利益、2)家族・地域住民などの反対により社会生活への阻害、3)患者の治療拒否や病院ショッピングによる治療への不利益、4)職場復帰のリハビリの欠如による職場復帰しにくい不利益、5)社会制度・行政の不備による不利益、の5つのテーマが抽出された。 「患者アドボカシー」看護実践を実施する上でのネットワーク構築に向けては、1)一般病院と精神科病院との連携を密にするために、一般科の看護師への精神疾患患者のケアの教育・研修システムの構築、2)精神科病院の看護師同士でケアを共有化する連携システムの構築、3)1枚の受診カードで全ての受診情報がわかるシステムの構築、4)精神科病院と地域住民をつなぐ連携システムの構築、5)職場復帰プログラム普及のためのシステム構築、が抽出された。 これらの結果を元に広島県全体の精神科病院の看護師へ質問紙による量的研究を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の面接調査は順調に終了し、概ねの分析は完了しただ今洗練化させている段階である。今後は、その結果を元に質問紙を作成し広島県内の精神科看護師への質問紙調査を実施し、広島県全体の実態調査と共に、ネットワーク構築を具体的にかんあげていく段階に入る。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、前年の質的研究より質問紙を作成し広島県内の精神科病院の主任レベルの看護師への実態調査を行い量的に分析し、「患者アドボカシー」看護実践の全体像を把握する。次年度に向けて地域連携ネットワークの成功した地域代表者による学習会を開催する。 今後は、質問紙作成と共に、地域連携ネットワークで成功している沖縄県と高知県の研究者を招き、その実践について学習会を開く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度(平成27年度)は、質問紙調査とネットワーク構築のための講師招聘による学習会を実施する。 最初の計画では、学習会は一度と考えていたが、行政を動かしての地域におけるネットワーク構築と大学と離島を結んでの看護上のネットワーク構築の2つについて学習することで、精神看護ならではのネットワーク構築に向けた方法をかんあげる機会としたいと考えたため。
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次年度使用額の使用計画 |
質問紙調査は、中四国の165施設の主任レベル以上の看護師への調査を行うことで、広島県と他県の特徴を明らかにする。 それと、ネットワーク構築のための学習会を2回開催(沖縄と高知の実践について)することで、広島県内で実施可能な「患者アドボカシ-」看護ネットワーク作りの基盤とする。
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