保育所・幼稚園と小中学校と地域等の関係機関が組織的に連携するためには、関係者が共通の課題を認識してそれぞれの活動を理解したうえでそれぞれの立場で取り組む必要がある。そこで、保育所・幼稚園と小中学校において、関係機関の協働による子どもと家族の生活習慣に関する実態調査を実施し、分析結果を保健教育に活用する取り組みを実践した。 実態調査の結果から、子どもの食事の栄養バランスについては、保護者の食事パターンと関連しており、食生活の改善のためには保護者に対してアプローチする必要性が示された。子どもの就寝時刻の規則性については、小学生では子どもの就寝時刻や母親の就寝時刻の規則性等、中学生では子どものスマートフォンの利用時間や生活リズムに対する子どもの意識等が関連していた。睡眠・生活リズムの改善のためには、子どもの学年に応じた子どもおよび保護者に対する保健教育の必要性が示唆された。 これらの子どもや保護者の生活実態を分析することで得られた結果は、学会発表や査読付き論文として発表し、関係者の実践活動の基礎資料として活用された。また、保育所・幼稚園の保護者に対する教育講演会、小中学校の児童生徒および保護者に対する学校保健委員会、さらに子育て支援センターやPTAの研修会、保健所における研修会など研究調査の参加者以外の多くの一般市民、専門職の方々の研修等に活用することができた。 なお、今回の研究では、当初の目的であった都市部における組織的連携による生活習慣病予防教育の実践プログラムの構築まで至らなかった。今後は、関係機関の協働による調査や実践活動を継続し、すべての子どもと家族が健康的な生活が送れるよう支援の輪をつなげたい。
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