研究分担者 |
松浦 光和 宮城学院女子大学, 教育学部, 教授 (00149783)
桂 敏樹 京都大学, 医学研究科, 教授 (00194796)
志澤 美保 京都府立医科大学, 医学部, 准教授 (00432279)
春木 香苗 (臼井香苗) 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (50432315)
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研究実績の概要 |
研究者らは、A小学校区の自治連合会、体育振興会、学区社協、シニアクラブ、女性会等の住民組織、地域包括支援センター、予防介護推進センタ-と共に“粟田健康まちづくり会”を結成し、ソーシャルキャピタルを醸成するプログラムを運営し活動している。A小学校区は、65歳以上高齢者1,139名(男性457名,女性682名)、高齢者人口構成割合は31.4%、京都市でも高齢者人口構成割合が最も高いB区に位置する。本研究では都市部高齢化地域におけるソーシャルキャピタルの効果検証を目的として、A小学校区の40歳以上の住民2,015名を対象に質問紙調査を実施した。回答者は427名(回収率21.1%)であった。 40歳以上の分析対象者420名中{女性253名(60.2%),男性165名(39.3%)、不明2名(0.5%)}、40~64歳129名(30.7%)、65歳以上291名(69.3%)であった。属性項目では外出頻度の多さ、経済的ゆとり、コミュニティ関連の項目では近所つきあいの深さ、コミュニティ感覚、身体的健康関連の項目では主観的健康感、生活習慣得点(ブレスローの健康習慣7項目)、精神的健康関連項目では孤独感(J-UCLA)と抑うつ度(GDS)が、生活満足度(LSIK)との相関(p<0.01)があり、“粟田健康まちづくり会”への参加の有無別2群の生活満足度では参加群の生活満足度が有意に高かった。 京都市は、歴史的な祭事が数多く受け継がれており、小学校区ごとに地区体育会や地蔵盆行事の催しを継続している地域が比較的多い。しかし、今後さらに加速される都市部の高齢化は、行事遂行の困難さやつながりの希薄化等の過疎的な現象を進め、住民のwell-beingに影響を及ぼすと考える。研究者らの“粟田健康まちづくり会”の実践は、住民参画による地域包括ケアシステムの具体的な実践例としてのモデルを示唆するものと考える。
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