本研究は地域住民を対象とした高齢者見守り活動促進プログラムを開発し、プログラムの2年間の介入効果を見守り対象者である単身世帯高齢者を対象に評価することを目的とした。 本研究は大阪府A市2地区を対象地域とし、介入地区と対照地区に割り付けた。2016年5月から2年間、介入地区に高齢者見守り活動促進プログラムを実施した。介入効果の評価は2地区在住の70歳以上の単身世帯高齢者全数を対象とし、郵送法による無記名自記式質問紙調査をベースライン、介入1年後、介入2年後の3回実施した。調査項目は基本属性、アウトプット評価項目で見守りサービスの認知度・利用状況、緊急時の備えの状況、アウトカム評価項目でソーシャルネットワークの状況であった。 2年間のプログラムによる介入状況は高齢者見守りチームメンバーが単身世帯高齢者をのべ293名訪問し、チーム会議を6回開催した。本研究の分析対象者は介入群146名、対照群126名であった。基本属性は居住年数が対照群に比べ介入群が有意に長い以外、2群間に差はなかった。2群間でソーシャルネットワークの得点の変化を評価した結果、群間と調査回数に交互作用はなかった。見守りサービスの認知度・利用状況では老人クラブの友愛訪問が介入後、対照群に比べ介入群の認知度・利用が有意に高くなった。緊急時の備えの状況は、緊急連絡先の登録はベースライン時に比べ介入後、2群とも増加したが、介入2年後は介入群が対照群に比べ緊急連絡先を登録している割合が高い傾向にあった。 2年間の高齢者見守り活動促進プログラムによる見守り活動を通して、単身世帯高齢者のソーシャルネットワークへの影響は認められなかったが、見守りサービスの認知度・利用が高まり、緊急時の備えが促進される傾向があった。地域住民による見守り活動によって、高齢者が孤立しないための対処方略を身につけることができたことが示唆された。
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