研究課題/領域番号 |
26463539
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
黒田 眞理子 東京医科大学, 医学部, 教授 (60265725)
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研究分担者 |
戸ヶ里 泰典 放送大学, 教養学部, 准教授 (20509525)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 自主避難 / 福島原発事故 / 男性労働者 / 放射線 / 別居 / 同居 / 経済的支援 / 精神的支援 |
研究実績の概要 |
26年度に実施した文献検討を投稿した。 また、26年度に実施した面接調査の結果をまとめ、学会で発表した。対象者11人の妻子の自主避難平均期間は21.6±15.5ヶ月で、面接時点で自主避難継続中の者は4人であった。自主避難を決定した理由は、「子どもの放射線への影響を危惧した」が最も多く、自主避難を中止した理由は、「幼稚園入園」、「除染により放射線量が下がった」等であった。妻子が自主避難したことによる対象者の生活上の困難として、「経済的負担の増加」、「子どもに会えない寂しさによる気分の落ち込み」、「妻子に会うための長距離運転による疲労」、「家事の負担増加」が明らかになった。面接時点で自主避難継続中の者は、仕事のキャリアを大切にしたいという気持ちと、子どもの成長を近くで見守りたいという2つの気持ちの間で葛藤していた。 次に、文献検討と面接調査の結果に基づき質問紙調査の内容を検討した。対象者は、福島県内の企業に勤務する男性労働者とし、主に県北・県中地域にある企業を商工会議所のホームページなどで検索し、約500ヶ所に研究説明書と協力依頼書、質問紙の見本、同意書等を郵送した。FAXまたは郵送で研究協力の意思を示した企業に、男性労働者人数分の研究説明書と質問紙、返送用封筒を送付した。質問紙の内容は、基本的属性、原発事故損害賠償や支援に関する知識、福島原発事故による経験、放射線に対する考え方、自主避難に関する考え、自分の健康状態、仕事や生活満足度、ストレス状況、ストレス対処力、相談相手・協力者の有無等を全員にたずねた。自主避難の経験がある人に対しては、自主避難中の支援、自主避難中の経験、自主避難中の人間関係の変化、自主避難中に大変だった経験・よかった経験を、現在も自主避難中の方には今後に対する考え等をたずねた。28年度に回答の分析を行い、支援方法について検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた質問紙調査を年度末に実施し、おおむね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は回収した質問紙調査の内容を分析し、質的研究、量的研究を統合し、本研究のまとめとして、福島原発事故により妻子が自主避難した男性労働者への支援方法を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
質問紙調査にかかる費用が若干次年度へ繰り越したためである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は質問紙調査の分析費用、調査のまとめを印刷する費用、学会発表等かかる費用に使用する予定である。
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