研究課題/領域番号 |
26463543
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
定村 美紀子 帝京科学大学, 医療科学部, 講師 (40321301)
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研究分担者 |
山川 百合子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (40381420)
小島 尚 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (50205382)
大西 奈保子 帝京科学大学, 医療科学部, 准教授 (60438538)
佐藤 亜月子 帝京科学大学, 医療科学部, 講師 (40433669)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | トランスディシプリナリ / 看護師 / 薬剤師 / 多職種連携 / 在宅医療 / ヘルスプロモーション |
研究実績の概要 |
本研究は、住み慣れた地域で暮らし続けるために看護師と薬剤師が連携し在宅医療を実践できるシステムを整え、患者が在宅における薬剤管理を主体的に行える環境を整えることを目的に実施している。本研究のフィールドとしている、東京足立区の在宅医療を促進するために、薬剤師会の協力を得て、訪問活動を積極的に実施している薬剤師と看護師が連携を深めるための学習会を企画した。訪問薬剤管理指導の実態について事例から学ぶことを初年度の目標とした。それと同時に、先行研究で調査した「訪問薬剤管理指導に関する薬剤師の現状」のアンケート結果を現在分析中である。具体的な実施内容としては、事例検討を主とした学習会を8回実施した。薬剤師が提示した「訪問薬剤管理指導事例」をもとに、医師、看護師などと対象者や介護者の状況、他職種のかかわり、在宅薬剤管理における課題などをディスカッションした。これらの取り組みから、在宅療養者の薬剤管理指導を実施するために以下が必要であることがわかった。①薬剤師が在宅医療に関するスキルを高める研修の場をつくる。②在宅薬剤管理において薬剤師と看護職や介護職が連携できる情報共有の場をつくる。③患者自身が自分の健康や生活をコントロールする力を身につけ医療チームの一員として医療に参画するための環境をつくる。事例から独居の方、認知症の高齢者などへの薬剤管理指導の必要性が高まっているのに薬剤師の力が活用できていない現状があった。また、看護師や介護職などから薬剤師への相談があまり行われていないのではないかと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度計画した薬剤師を対象とした、アンケート調査のデータ整理、多職種の参加による事例検討を主とした定期的な学習会の継続、学会における成果発表を実施でき順調に進展している。1年かけて在宅における薬剤管理の課題、多職種連携の必要性、情報共有の困難さなど訪問薬剤管理指導の実態や課題が明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、訪問薬剤管理指導の実態から導き出された課題を分析し、地域の薬剤師、看護師、その他の人々と共有することが必要である。また、多職種連携や地域包括ケアを実践するために必要な情報共有のあり方を明らかにする介入調査を行っていく。独居の認知症対策など高齢者への在宅薬剤管理指導を実施するため、地域包括支援センターにも働きかけて専門職だけではなく、保健推進員など住民の力を引き出し、在宅における効果的な薬剤管理に関する情報発信を行う。また、これまでの経過を論文にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
H26年度の活動は研究メンバーによる、実態把握を目的とした。大学内における学習会を主とした活動となったため、地域住民に働きかける講演会や多職種連携など地域の人々を巻き込んだ顔の見える関係づくりのための場を提供するまでには至らなかった。また、訪問薬剤管理指導に積極的に取り組んでいる先進地域の視察なども実施したかったが、情報収集が十分でなくメンバーの日程調整も困難な状況であり計画通りに進めることができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
H26年度の成果を基に、地域住民に向けた、薬剤師の訪問活動のスキルアップ講演会、在宅における薬剤管理に関する健康教室、訪問看護師と薬剤師の顔が見える関係作りのための情報発信や場づくりなどを積極的に実施する。特に、東京足立区では、糖尿病対策の一環として、薬局で血液検査を実施できる地域づくりに取り組むなど、地域の薬局や薬剤師の力が期待されている。訪問薬剤管理指導を行っている薬剤師と訪問看護師の連携を強化し、行政などとも協働できる地域医療保健システム構築を目指す活動を継続し、取り組みの経過を学会その他で発表する。先進地視察や住民に向けた講演会などを実施し、研究成果を地域に還元しながらヘルスプロモーション活動の実践につなげる。
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