全国の看護系大学保健師養成担当教員および実習指導担当保健師をエキスパートとし、デルファイ法を用いた郵送自記式調査を行った。2回の調査の結果、卒業時に保健師として習得すべき態度・価値観13項目、ジェネリック・スキル12項目が重要と認識され、90%以上の同意率を得た。 次に示すアクティブ・ラーニングの学習プロセス展開を体系的教育方略の試案の枠組みとし、教育実践を試行した。保健師として実践に必要な[A:知識・スキルの取り込み]と日常生活体験や当事者体験との[B:体験への結びつけ]を意図的に組み込む。また、当事者の立場に立った視点を軸とした[C:多角的な推論や判断]ができる力を培うことを促す。そして、総合的な視野を持った[D:論理的な思考]を自分なりにまとめ、[E:発表や伝達を通した表現]を行い、[F:仲間との交流や多様な価値観]を通して、自分の思考を深める。さらに、[G:客観的・形成的評価]によって、自分の課題認識と目指すべき学習目標が見出せ、主体的な[H:更なる学習意欲と動機づけ]に導く。これらのスパイラルが、次の新たな[A:知識・スキルの取り込み]となり、向上的な実践能力の発展につながる。今後、学生の学習成果と合わせて検討し、教育プログラムとしての有効性を検証するとともに、他大学でも実践できるように精選していく必要がある。 さらに、学習成果を評価する視点に基づき、評価基準を作成し、学生が作成した保健師活動のイメージ図の得点化を試みた。その結果、得点化の方法として、単純な加算による得点化ではなく、「保健師活動の要素となる目的、活動原則、住民主体の内容」「その関係性の表現方法」「独創性と置きかえの程度」の3方向の乗算による得点化を見出した。今後、この評価方法をツールとして活用をしていくためには、評価のしやすさやわかりやすさについて改良していくことが必要である。
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