研究課題/領域番号 |
26463562
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研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
大越 扶貴 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (90352632)
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研究分担者 |
表 志津子 金沢大学, 保健学系, 教授 (10320904)
福山 由美 三重県立看護大学, 看護学部, 講師 (40529426) [辞退]
和田 庸平 高知大学, 教育研究部医療学系看護学部門, 助教 (00632209)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高齢者虐待 / 地域包括支援センター / 保護や分離 / 保健師 / 社会福祉士 |
研究実績の概要 |
保護・分離が求められる高齢者虐待対応(虐待対応)における地域包括支援センター各専門職の専門性について、アセスメント・介入、これらの技能をどのように獲得しているか(研修や事例検討等)に焦点をあてインタビューを実施した。インタビュー対象は、虐待対応において先駆的取組を行っている自治体の直営型および委託型の地域包括支援センター専門職とした。社会福祉士は福島県、東京都新宿区で実施、保健師等は福井県、東京都東久留米市で実施、包括支援センターチームとしては東京都豊島区で実施した。得られたデータは質的帰納的に分析し、支援過程における各専門職のアセスメントや介入の特徴、2職種の差異と共通性を抽出した。また、技能の習得方法について確認した。保健師等の介入の特徴は、ヘルス事業や児童などの訪問を介入の糸口とし、高齢者の身体面や食事内容などの生活全般から生命の危機状態を予測、トリアージし、脱水等の見えにくい虐待について他職種に緊急性を喚起していた。社会福祉士は介護者家族の支援を介入の糸口とし、世代や性差、経済といったように虐待の要因に関わる全体像を把握していることが明らかとなった。保護・分離事例では、保健師等と社会福祉士の複数訪問がなされていることもあり、各々期待する、される役割を担っていた。一方、経験や保護分離の実践数の多いチームでは、職種として期待される役割は果たしつつも他専門職の技能を実践の中で獲得し双方の視点をもつ状況があった。 技能の習得に関しては、集合研修では基礎的な知識を、事例検討では実際の事例の事後の振り返りを行い実践に反映させていた。成功事例などの体験は、判断のパタン化を生じさせることからチームで関わりパタン的思考を是正する機会としていた。 分析結果(保健師)については、看護科学学会で成果発表(示説)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、やや遅れている状況であったが、今年度は計画的に調査活動を行い、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、地域包括支援センター専門職と対象としたフォーカスグループインタビュー結果を質的帰納的に分析し保健師等、社会福祉士の高齢者虐待対応における保護や分離事例のアセスメントおよび介入の特徴を明らかにする。またこれらの技能獲得過程を明らかにする。その上で学習理論を基礎にしながら技能を養成するためのプログラム試案を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2年目までの研究遂行が大学業務との関係で遅れたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
助成金の使用計画として、平成28年度は研究の遅れを取り戻すことができたため、認められた1年間研究延長の中で、アンケート調査実施や平成28年度の調査結果を踏まえた論文投稿費用に使用する。
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