研究課題/領域番号 |
26463572
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
大野 佳子 北里大学, 看護学部, 准教授 (20347107)
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研究分担者 |
服部 兼敏 兵庫県立大学大学院, 看護学研究科, 客員教授 (10346637)
金子 仁子 慶應義塾大学, 看護学部, 教授 (40125919)
森谷 栄子 北里大学, 看護学部, 講師 (70348598)
中井 泉 北里大学, 看護学部, 助教 (80523711) [辞退]
北田 雅子 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (40382460)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 禁煙プログラム / 動機づけ面接 / テキストマイニング / 認知行動 / コミュニティ・システム |
研究実績の概要 |
3年計画のうち2年目までに追加集積された禁煙を目指す介入事例について、質・量の面から会話内容を分析し、効果的な介入プログラム内容の再検討を行った。具体的には、質的分析では、禁煙困難事例と禁煙成功事例との比較より動機づけ面接Motivational Interviewingにおけるタバコおよび自己に対する事柄、感情、価値の観点から再探索した。量的分析では、質的な探索プロセスより得られた仮説に基づき、対話内容をテキストマイニングにより数量化して評価検証を行った。また、禁煙行動を可能にする発話内容の特徴をカウント可能なコーディングによって試みた。 その結果、初回面談において介入者はいかに対象者の率直な「負の感情や価値観」を引き出せるか、同時に対象者は「タバコに対する感情や価値の表出」だけでなく「自分自身の感情や価値の表出」が、その後の禁煙行動へ質的・量的に影響することが確認された。すなわち効果的な禁煙プログラムは、初回面談段階の禁煙への「動機づけ」が成功した上で、認知・行動に働きかける2段階のプログラム構成が効果的であることが示唆された。また、禁煙仲間や上司のサポートは禁煙継続する影響要因であることは再確認され、コミュニティ・システムの側面からの再検討も必要と考える。 本研究の実施プロセスにおける新たな課題として、対象となる喫煙中の学生・職員の他に過度の飲酒、買い物依存、携帯電話依存などの依存行動で学業や労働に支障を来しており、潜在的ニーズがあることが伺える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
27年度の目標は、継続的な禁煙成功を目指したプログラム開発のために更なる症例集積(10例以上)を行うことであり、当該年度において共同研究者と連携・協力して12例を集積した。これまでの分析・評価検証プロセスで得られた知見の一つとして、禁煙プログラム全体の構成において初回面談における全体説明の会話内容の動機づけの成否が、全体の成否に大きな影響を及ぼす可能性が示唆されたこと、コミュニティ・システムへ働きかける重要性の再確認である。また、本研究の実施プロセスにおいて、対象となる喫煙中の学生・職員の他に過度の飲酒、買い物依存、携帯電話依存などの依存行動により学業や労働に支障を来しており、同様のプログラムを用いた個別相談に応じて行動変容に至った症例も出てきており、プログラムの汎用性への可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
禁煙成功の可否に会話内容、特に初回面談における説明段階からの会話内容が影響している仮説を踏まえ、これまで開発・是正してきたコミュニティ・システムと動機づけに働きかける禁煙プログラムを用いて更なる症例集積に臨みたい。また、対象となる喫煙中の学生・職員の他に過度の飲酒、買い物依存、携帯電話依存などの依存行動で学業や労働に支障を来している症例についても集積し、汎用性のある行動変容プログラムとして開発を続ける予定である。いずれも動機づけ面接Motivational Interviewingのスキルは必須であることから、引き続き介入者の専門性を保証する条件を整えていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用額が生じた主な理由として、これまでの研究成果を国内外に公表し、保健行動への変容の専門家とディスカッションし最新の知見を得て更なる改善を図るため、海外出張等の旅費・滞在費用が必要である。また、集積された症例を録音データの逐語録作成費用、研究成果に関する論文投稿に係る費用や共同研究者間の分析・検証結果に対するディスカッション(会議費)、動機づけ面接トレーナーとしての質向上のために関連ワークショップへの参加が必要である。さらに汎用性のあるプログラム開発のために多角的な会話分析は必須であり、今後集積する面談場面の分析には録音に加え録画も行う予定であり、録画機器の購入が望ましい。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果の国内外における公表(韓国、英国、国内)、専門家による最新の知見提供への謝礼金、会議費、研究協力費、データ整理・入力作業に係る費用、論文投稿費用、学会・ワークショップ参加費用、解析ソフト(特にテキストマイニング)保守費用、録画機器購入等の使用を計画している。
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