本研究は、動物との共生経験と他者との交流や地域参加といった社会的健康側面との関連についての分析を通して「動物との共生を基盤としたCommunity Developmentモデル」の構築と検証を行うことを目的とし、以下のように段階的に研究を進めた。1.「動物との共生」概念についての文献検討、2.「動物との共生」に関する先進的研究・実践機関における専門的知識の収集および「動物との共生を重視した地域づくり」に取組む自治体および活動実践者へのインタビュー、3.「動物との共生と社会的交流・地域参加の関連」についての質問紙調査、4.調査結果を踏まえたモデル構築およびワークショップの開催を通じた概念モデルの検証。2019年度は以下の内容について研究を進めた。 2.「動物との共生を重視した地域づくり」に取組む自治体および活動実践者へのインタビュー:全国の自治体ホームページを検索し、先進的な取り組みをしている自治体を抽出し、5自治体に属する8名の担当者に対し、動物との共生推進活動についてインタビューを行った。自治体における「動物との共生」施策やその概念、NPOや住民と協働した共生推進について示唆を得た。 3.「動物との共生と社会的交流・地域参加の関連」についての質問紙調査:関東地方に住む20-70代男女700名に対し質問紙を郵送し、501名から回答を得た(回収率71.6%)。地域住民のとらえる動物との共生やその取り組みについて、量的・質的にデータを得た。 4.調査結果を踏まえたワークショップの開催:2019年11月17日にペットとの共生推進シンポジウムにてこれまでの研究成果を発表し、2020年10月開催の公衆衛生学会総会の公募シンポジウムに採択され、同様に成果を発表予定である。
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