研究課題
本研究の目的は、特別区保健師と7大学の教員との協働により、エビデンスに基づく指標を用いて、学生の到達度を学生・保健師・教員を対象として多角的・経年的に評価し、保健師選択制導入による成果と今後の課題を明らかにすることである。保健師の選択制実習3年目であり、本研究の最終年度となる平成28年度には、以下の内容を実施した。1.25~27年度の調査結果報告:保健師選択制導入前年度の25年度と、選択制導入後の26、27年度に、学生・保健師・教員を対象に、厚生労働省の示した「保健師教育の技術項目と卒業時の到達度」(技術項目)の98項目を学生が到達できたかどうかを調査した。その結果、学生が技術項目を到達できたと回答した割合の98項目の平均は、各対象とも、選択制導入前の25年度と比較して、選択制導入後の26、27年度の方が有意に上昇した。さらに選択制導入後に8割以上の項目数が上昇し、5割未満の項目数が減少した。これらの結果から、選択制移行によって、実習期間や内容が充実し、新しい教育体制が定着してきたと考えられる。他方で、施策化に関する項目など、選択制導入後も十分に到達できていない項目が依然として多いという課題が明らかになった。また、保健師を対象にした調査の中で、学生の変化等に関する自由記載を質的に分析した結果、選択制導入後、保健師は学生の意欲の高さなど肯定的な変化を認識し、より実践的で充実した実習のために努力していたことが明らかになった。これらの成果を第5回日本公衆衛生看護学会学術集会で発表した。2.28年度調査の実施と分析、報告:学生を対象に、技術項目に関する調査を実施し、その結果を集計し、25年度以降のデータと比較しながら分析した。この成果を、特別区の保健師・教員が集まる「特別区公衆衛生看護学実習を考える会」にて共有し、教育内容の改善を検討した。
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日本公衆衛生雑誌
巻: 63(7) ページ: 355-366
http://doi.org/10.11236/jph.63.7_355