研究課題/領域番号 |
26463581
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
牧野 裕子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 准教授 (30290365)
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研究分担者 |
新井 香奈子 園田学園女子大学, 健康科学部, 教授 (00364050)
石田 宜子 大阪府立大学, 看護学部, 准教授 (70290369)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | QOL / 子ども / 慢性疾患 / 難治性疾患 / アトピー性皮膚炎 / KIDSCREEN |
研究実績の概要 |
今年度の研究実績は、1.コントロール群データの集積、2.調査項目の確定および疾患群としてアトピー性皮膚炎患児を対象とした調査の開始、3.得られたデータをもとに、KIDSCREEN_27の測定項目である「身体活動と健康」「全般的な気分と感情」「家族と自由な時間」「友達」「学校と学習」について、疾患群とコントロール群との比較 以上の3点である。 現在データ集積途上であるため、現在までの回収データ数は、コントロール群324組、疾患群41組とまだ十分な数には達していないが、現在時点で得られたデータにて解析を試みたところ、以下のような傾向がみられた。 1.疾患群とコントロール群との比較では、疾患群において「身体活動と健康」「全般的な気分と感情」各項の得点が有意に低かった(p<0.05)。 2.アトピー性皮膚炎患児におては、症状が出ていることを「とても嫌だ」と思う部位は、「顔・首」72.0%、「胸・腹部」70.6%、「脚・膝」63.6%、「手・腕」62.1%の順に多く、特に「顔・首」の症状を苦痛に思っている児では「学校と学習」(p<0.01)、「身体活動と健康」「全般的な気分と感情」「家族と自由な時間」(p<0.05)の得点が優位に低かった。 3.アトピー性皮膚炎患児の疾患に対する理解者は、「母親」89.2%、「主治医」59.5%、「父親」56.8%の順であり、「アトピー性皮膚炎の友人」は殆ど見られなかった。QOL下位項目である「身体活動と健康」および「全般的な気分と感情」においては「主治医」の理解者有りの者において有意に高く(p<0.01)、「学校と学習」では「主治医」、「教員」、「友人」の理解者有りの者において有意に高かった(P<0.05)。 今後も引き続きデータ集積を行い、解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に予定をしていた、コントロール群データの集積、アトピー性皮膚炎患児を対象とした調査開始 等の事項において、概ね予定通りに進展している。 しかし、調査開始時期が当初予定の6月から9月にずれこんだことに加え、回収率が見込み値よりも伸び悩んだ事などから、データ回収数が未だ不十分な状況にある。 そのため調査機関を追加し、現在 計画続行中である。
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今後の研究の推進方策 |
〇平成28年度の研究計画 平成28年度は、前年度に開始したアトピー性皮膚炎患児調査の横断データの集積に加え、3~6か月後の症状変化(治療による軽快または悪化)時の縦断データの集積に努める。 得られたデータとコントロール群データとの比較により、KIDSCREEN_27のQOL測定項目である「身体活動と健康」「全般的な気分と感情」「家族と自由な時間」「友達」「学校と学習」における患児の特性を明確化するとともに、各項に関与する要因検討を通し、難治性慢性疾患をもつ子どものQOL向上に向けた支援の在り方を見出す。 さらに研究成果について、関連学会での発表および学会誌への投稿準備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度への繰越金が生じた理由は、1.調査開始時期が予定より遅れたことから、調査謝礼、配布・回収、データ処理が先送りとなったこと、2.データ収集中のため学会発表および海外誌投稿準備が次年度での実施となったこと、以上の2点である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用計画は、1.横断調査データ集積および縦断調査実施、2.データ解析、3.学会発表、4.海外学会誌への投稿準備 以上の4点に掛る経費として充当したいと考える。
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