研究課題/領域番号 |
26463581
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
牧野 裕子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 准教授 (30290365)
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研究分担者 |
新井 香奈子 園田学園女子大学, 人間健康学部, 教授 (00364050)
石田 宜子 兵庫大学, 看護学部, 教授 (70290369)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | QOL / 子ども / KIDSCREEN / アトピー性皮膚炎 / 慢性疾患 / 難治性疾患 |
研究実績の概要 |
●本年度の研究成果は以下の通りである。 初診時の重症度が中等症以上のアトピー性皮膚炎患児とその保護者60組を疾患群、基礎疾患をもたない子どもと保護者324組の中から疾患群と性・年齢をマッチさせた120組をcontrol群とし、QOL の構造およびそれらに関与する要因について解析した。 QOL評価には、既に諸外国にて広く活用されているKIDSCREEN(対象の疾患や障害の有無に関わらず包括的に使用可能な子どもの健康関連QOL尺度)で、このたび研究者が所属するグループにおいて日本語版に翻訳され国内使用における信頼性・妥当性が検証された、日本語版KIDSCREENの短縮版である「J-KIDSCREEN-27」を用いた(Nezu S., et al. Environ Health Prev Med. 2016 May;21(3):154ー163.)。調査内容は、基本情報、ソーシャルサポートの程度、疾患特有の症状および日常生活への影響とその程度、疾患の状態を表す診療データ等である。 その結果、1)疾患群はcontrol群と比較し「身体的幸福感」「心理的幸福感」が有意に低いこと、 2)QOLに関与する要因として、「身体的幸福感」には運動や勉強などの学校生活の状況が、「心理的幸福感」には、社会的支援の脆弱さや病気を恥じる思い等の関与が認められる一方、症状の重さや日常生活を制限する治療そのものが必ずしもQOLに影響するものではないことが明らかとなった。 ●今後の研究の展開:本研究は、慢性疾患をもつ子どもの健全育成を促すとともに、より質の高いケアを目指す上で不可欠であり、早期の明確化が望まれるものであるが、研究期間中、家族の介護と自身の療養により計画通りの進捗が叶わない部分があった。本年度で研究補助事業期間は終了となるが、引き続き症例数および症例疾患を増やした分析を行い成果の還元に努める所存である。
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