研究実績の概要 |
【目的】地域特性に基づく高齢者の健康とソーシャルキャピタル[以下(SC)]の醸成のあり方を提言することである。 【方法】①対象:人口減少自治体Y町・A町、人口増加自治体K市(以下、Y・A・K)(H27年度国勢調査の高齢化率Y44.5%・A37.6%・K24.8%)、Y・Aの2小地域、Kの1小地域の高齢者(60歳~80歳)から選定②調査期間:2017年11月~2018年1月③方法:Kは健康づくり部会員が500名、YとAは住民基本台帳により選定(A573名、Y524名)し、自記式質問紙調査表を配布④調査項目:JAGESプロジェクト作成の[健康とくらしの調査]を基に、基本属性(年齢・性別・教育年数・家族形態等)、主観的健康観、生活満足度、SC項目(地域への信頼,助け合い・参加等)、地域特性(行事・集える場所等)とした⑤学内倫理委員会の承認後実施した。 【結果】①分析対象者:回収率66.3%(1059名)、有効回答率61.3%(979名)②対象者属性:男性431名(44.6%)、女性535名(55.4%)。特徴的な地域差として、[一人暮らし]Y10.6%・A16.0%・K6.0%、最多の[最終学歴]Y高校52.3%・A中学校56.6%・K高校56.2%、等③市町別SCと健康状態・生活不便感はY・Kで相関を認め、SCと地域特性項目のうち、 [公園有無] [行事の有無][行事への参加][集える場所の有無][集える場所の利用]は市町で相関を認め、[商店等有無]は相関を認めなかった。[行事][集える場所]の有無は小地域により異なったが、[行事への参加][集える場所の利用]は小地域でも相関を認めた。 【考察】高齢者の健康とSCの醸成には、行事の企画,集える場所,その場所を利用できるような働きかけが必要であり、小地域範囲の実態把握と地域診断に基づくサービス提供のあり方を検討する必要性が示唆された。
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