研究課題/領域番号 |
26500002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
成田 りら 東京大学, 総括プロジェクト機構, 研究員 (60726058)
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研究分担者 |
加藤 久典 東京大学, 総括プロジェクト機構, 教授 (40211164)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 食餌タンパク質 / アルギニン / 尿素サイクル / アポタンパク質 / アセチルCoA |
研究実績の概要 |
ラットに、食餌タンパク質の量と質を変化させることで、肝臓特異的に脂肪が蓄積するモデル(低アルギニン食給餌)、内臓脂肪と異所性脂肪(肝臓と筋肉)が蓄積するモデル(低タンパク質食給餌)をこれまでに構築してきた。これらのモデルでそれぞれの組織への脂肪蓄積機構を調べるための最適なサンプリングの時期を決定し、サンプルを取得し、オミクス解析により標的因子の検索を行った。 ラットに低タンパク質食を給餌して内臓脂肪と異所性脂肪の蓄積が観察されたのは給餌2週間後であった。低アルギニン食給餌による肝臓への脂肪蓄積は給餌5日目に観察された。低タンパク質および低アルギニン食給餌モデルの脂肪蓄積機構の比較解析には、給餌後2週間後に取得したサンプルを用いた。肝臓、筋肉そして脂肪組織のトランスクリプトーム解析から、肝臓で糖質および脂質代謝に関係する遺伝子の変動が確認された。ところが、筋肉および脂肪組織ではそれらの変動はほとんど観察されなかった。そこでオミクス解析は肝臓を中心に行い脂肪蓄積の律速となっている標的因子を検索した。その結果、低タンパク質食を摂取したラットは、窒素に伴い尿素サイクルとそれに連動するTCA回路が抑制された結果、糖質からの脂肪酸合成経路が促進していることを見出した。低アルギニン食を摂取したラットでは、脂肪酸合成経路は抑制されていた。一方、肝臓でVLDLの構築に関与するアポタンパク質の遺伝子発現が著しく抑制されていた。そこで、肝臓からの脂肪酸の放出能を調べたところ、給餌5時間後から肝臓からVLDLの放出抑制が確認され、アポタンパク質の発現抑制がこのモデルにおける肝臓への脂肪蓄積機構に重要な役割を持つことを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成26から27年度にかけて、産前産後の休暇および育児休暇を取得し、研究を中断したため。
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今後の研究の推進方策 |
オミクス解析より抽出した標的遺伝子の発現変動が、エピジェネティックな修飾によるものか検討を行う。加えて、ゲノムワイドなメチル化解析を並行してすすめる。オミクス解析は継続して行い、脂質代謝制御関連経路以外について解析を行い、新たな標的遺伝子の抽出を試みる
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次年度使用額が生じた理由 |
妊娠、出産に伴い産前産後休暇および育児休暇を取得したため、研究を中断したため。
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次年度使用額の使用計画 |
精力的に研究を行い、研究中断した期間の遅れを取り戻す
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