研究実績の概要 |
”甘い食べ物を食べると小腸からの糖の取り込みが増え、より太りやすくなる”という仮説を検証することが、本研究の主目的である。申請した研究計画に基づき、本年度は以下を行なった。 (1) マウスモデルを用いた検討 通常食および高脂肪/高ショ糖/高コレステロール食(HSHFHC食)を5ヶ月間負荷した野生型およびChREBP-/-マウスの小腸でのグルコースおよびフルクトーストランスポーター(SGLT1, GLUT2, GLUT5)の遺伝子発現を調べた。まず、小腸上部>中部>>下部の順に、上記トランスポーター発現が見られた。さらに、野生型にくらべChREBP-/-マウスでは、上記トランスポーターの発現が低下していた。次に、小腸上部での糖取り込みを抑制するミグリトールを含むと含まないHSHFHC食(ミグリトール添加群vs 非添加群)での小腸のグルコースおよびフルクトーストランスポーター(SGLT1, GLUT2, GLUT5)の遺伝子発現を比較した。ミグリトール群では小腸上部でのSGLT1, GLUT2, GLUT5が低下し、小腸下部でのSGLT1, GLUT2, GLUT5が増加した。ChREBPおよび標的遺伝子であるPKLRも同様の挙動を示した。上記は、糖質の取り込みの主な部位が小腸上部であること、ChREBPによる糖質トランスポーター発現調節の可能性を示唆する。 (2) 腸管培養細胞を用いた検討 腸管培養細胞であるCACO2細胞を用いて、グルコース、フルクトース、スクロース、メチルグルコース、2-デオキシグルコースによる発現誘導を検討した。結果としてグルコース、フルクトース、スクロースによるGLUT5発現誘導が観察された。上記はグルコースもしくはフルクトースの代謝産物によりGLUT5の発現が誘導されることを示唆することから、ChREBPの関与が推察された。
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