研究課題
【研究目的】アルツハイマー病は、超高齢化社会において、最も重要な神経変性疾患である。しかし、発症機序は不明な点が多く残されており、治療のみならず予防・進行遅延法も確立されていない。本研究は、先行知見(■小胞体ストレスにより発現誘導された転写因子ATF4がアミロイド-β産生を促進する[培養細胞]、■機能性食品成分[ケルセチン]はGADD34の発現を誘導することによりATF4の発現を減少させ,アミロイド-β産生を抑制する、□ケルセチンが正常加齢マウスの記憶・学習を改善する)に基づき、アルツハイマー病モデルマウスを用い、脳内アミロイド-β産生と記憶・学習障害に対するケルセチン及びその標的タンパク質GADD34の作用機序を明らかにする。それにより、発症予防法の確立に重要な病態機序の解明を到達目標とする。【研究成果】平成26年度は、アルツハイマー病モデル(APP23)マウス接種に必要なレンチウイルスを作成した。また、マウス神経初代培養細胞を用いて感染性と機能性を確認した。さらに、APP23マウスにケルセチンを含む餌を与え、行動解析(恐怖条件付け学習試験:電気刺激と環境および音の条件付け)とケルセチン摂取による脳内のタンパク質の変化を解析し、1)ケルセチン摂取によりAPP23マウスの記憶障害の進行が遅延すること、また2)脳内GADD34タンパク質発現の上昇を確認した。
1: 当初の計画以上に進展している
アルツハイマー病モデル(APP23)マウスにおいてケルセチン摂取による記憶障害の進行の遅延と脳内GADD34タンパク質発現の上昇を証明することが出来たことは初年度の計画以上の進展である。
APP23マウスにGADD34ΔNレンチウイルスを接種し、eIF2αリン酸化-ATF4シグナルによる脳内アミロイド-β産生制御機構をマウス個体にて解明する。
すべて 2014
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Cell. Mol. Life Sci.
巻: 71 ページ: 2561-2576
10.1007/s00018-013-1515-x