研究課題/領域番号 |
26500008
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
橋本 道男 島根大学, 医学部, 准教授 (70112133)
|
研究分担者 |
片倉 賢紀 島根大学, 医学部, 助教 (40383179)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 高齢者 / ω3系脂肪酸 / 認知機能 / 情動 / 縦断的疫学研究 / 遺伝子多型 |
研究実績の概要 |
1)過去に行った横断・縦断的疫学調査、ヒト介入試験データの一元化と再解析:島根大学の「コホート研究プラットフォームを活用した高齢者難治性疾患予防研究」のデータベースから、同一地区の健常在宅高齢者(平均年齢66.9歳)を抽出して、赤血球膜脂肪酸と情動(うつ、やる気)と脂肪酸摂取との関連性を検討した。うつはSDSスコアから、正常(SDS<40)、軽度うつ(SDS≧40)の2群に、またやる気スコアから、正常(apathy scale < 16)、意欲低下(apathy scale≧16)の2群に其々カテゴリー化した。さらには対象者を赤血球膜脂肪酸レベルに従って三分位に区分して検討を行った。女性は、赤血球膜のオレイン酸(OLA)とOLA/ステアリン酸(STA)比が増大するとうつは軽減し、やる気の増大が見られ、男性ではα-リノレン酸またはドコサヘキサエン酸(DHA)が増加するとうつは軽減し、やる気の増大が示唆され、情動にたいする脂肪酸による効果には性差があるようである。 2)DHAレスポンダーと脂肪酸不飽和化酵素・鎖長延長酵素の遺伝子多型との関連性:「高齢者認知機能へのDHA強化食品による影響に関する無作為抽出二重盲検ヒト介入試験」の治験者を、DHA強化食品による認知機維持能効果が認められた群をDHAレスポンダーとして、ノンレスポンダーとの相違を検討した。レスポンダー群ではLDLコレステロールや赤血球膜エイコサペンタエン酸が高値を示したが、Δ5不飽和化酵素の遺伝子多型は両群間で差が見られなかった。 3)不飽和脂肪酸合成関連酵素、肥満・高血圧・うつ病関連酵素の遺伝子多型と認知機能・うつ症状との関連性:2)項目と同一の治験者に対して遺伝子多型との関連性を検討したところ、ある種の脂肪酸とうつ病、高血圧、肥満と関連した遺伝子多型との関連性が認められた(詳細は発表できない)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度で終了するはずの島根大学コホート研究が昨年度も行われ、赤血球膜脂肪酸測定などに多くの時間が費やされた。また、遺伝子多型の測定法は確立したが、一括して測定しなければならないので、コホート研究に関しては、測定・解析が出来なかった。
|
今後の研究の推進方策 |
1)平成26年度未使用額は、予定されている遺伝子解析に使用する。 2)平成26年度からの検討課題「不飽和脂肪酸合成関連酵素、肥満・高血圧・うつ病関連酵素の遺伝子多型と認知機能・うつ症状との関連性の検討」を継続して行う。 3)テーラーメイド栄養学の試み:平成26, 27年度に遺伝子解析を行った社会医療法人仁寿会関連施設の高齢者向け居住系施設入居者を対象として、テーラーメイド栄養学を検証するために、遺伝子多型に関連した栄養素をより多く摂取することにより、遺伝因子と食生活習慣による認知症やうつ症状、さらには生活習慣病へ影響を及ぼすか否かを検討するためのヒト介入試験を行うための施設確保と説明会など、さらには実施を開始する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子多型の測定・解析を予定していた島根大学コホート研究が平成26年度も行われたために、一括して行わなければならない測定が出来なかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
島根大学コホート研究で保存されている検体から遺伝子多型を測定する経費に使用する。
|