研究課題
1) 新規な認知症・うつ病予防栄養素材の探索と実証:平成27年度から継続中である健常在宅高齢者を対象とした2つのヒト介入試験の12ヶ月間の成果を示す。1)-1 超高水圧加工玄米による認知症予防の検証:玄米は、γ-アミノ酪酸(GABA)や食物繊維などの機能性成分を多く含むが、長期間摂取することが困難であった。食感は悪いが機能性が高い玄米を超高水圧で加圧して得られた超高水圧加圧玄米(以下、加圧玄米と略す)は、玄米の機能性成分に加えて、フェルラ酸、各種ビタミンB群、イノシトール、などを多く含み、柔軟性が増し、長期間摂取が可能となった。介入試験開始12か月後に、1日当たり加圧玄米100 gと白米100gを摂取する加圧玄米群と白米200gを摂取する対象群を比べると、加圧玄米群では骨密度評価指数の変化値が有意に増加し、やる気評価(Apathy)指数が有意に低下し、さらには認知機能評価法の一つであるCADiの総回答所要時間が短縮した。また、2群間では血液生化学一般項目や空腹時血糖値やHbA1c値に有意差が認められなかった。これらの結果から、高齢者の加圧玄米長期摂取は食として安全であり、骨密度を維持させ、やる気を向上させることが見出された。1)-2 エゴマ油と脳トレを組み合わせた新規な認知症予防法の開発:エゴマ油はα-リノレン酸を多く含み、摂取されると、生体内で魚油の主成分であるEPAやDHAに変換されると考えられている。12か月後では、エゴマ油群は対象群に比べて、血液生化学一般項目や空腹時血糖値やHbA1c値に有意差が認められず、赤血球膜のα‐リノレン酸が有意に増加し、認知機能評価の一つである前頭葉機能試験の総合点の変化値が増加傾向を示した。高齢者におけるエゴマ油の12か月間の長期摂取は、食として安全であり、高齢者の前頭葉機能維持に役立つかもしれない。
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