研究課題/領域番号 |
26500013
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研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
高橋 徹 福岡女子大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (80324292)
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研究分担者 |
安細 敏弘 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (80244789)
小野塚 実 神奈川歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (90084780)
徳永 美希 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教 (90610238)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 食後血糖 / 体外実験 / 自由水 / 水の拡散 / 糖の拡散 / 粘度 / 糖吸収 |
研究実績の概要 |
糖尿病の予防と治療において、食後血糖のコントロールは最重要課題である。これまで、食後血糖は消化管内容物の粘度との関係から説明されることが多かった。しかし、小腸内容物の粘度を上昇させないにも関わらず、食後血糖を緩和する水溶性食物繊維がいくつも存在する。本課題では、食後血糖を決定する新たな因子の探索を行った。 食後血糖は小腸での糖の吸収速度に依存する。これまでの研究から、小腸での糖の吸収速度は小腸管腔内での糖の拡散速度に依存することを数学モデルと動物実験から示してきた。一般的に、拡散速度は、粘度に依存すると言われている。一方で、拡散速度は、ブラウン運動にも依存すると言われている。ブラウン運動は、水の拡散速度や自由水の含量に依存する。そのため、糖の内容物中の拡散が、内容物の粘度、水の拡散速度、自由水の含量のいずれに依存するかを体外実験で測定した。 水溶性と不溶性の食物繊維を用いて、拡散係数の測定を6種類の系で行った。繊維には、結晶セルロース、分子量が異なるカルボキシメチルセルロースナトリウムおよびペクチンを用いた。糖の拡散係数はキャピラリー法で測定し、自由水と水の拡散はMRIを用いた。 内容物中の糖の拡散係数と因果関係がある因子をベイジアンネットワークで解析を行った。添加した繊維によって、内容物中の糖の拡散係数に影響を与える因子が異なるので、繊維ごとに解析を行った。ペクチン添加の場合、内容物中の糖の拡散係数を制御している因子は水の拡散係数(ADC)と自由水含量(T2)であった。セルロース添加の場合、内容物中の糖の拡散係数を制御している因子は、内容物中の水の拡散係数(ADC)、自由水含量(T2)、粘度であった。すなわち、内容物中の水の拡散係数(ADC)、自由水含量(T2)を制御することで、食後血糖を制御できる可能性がたかい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定では、不溶性食物繊維を用いて糖の拡散に影響を与える要因の検索を平成26年度に行うことになっており、27年度以降に解析を行うことになっている。現在、この予定通りに進捗している。今後は、解析をさらに進めていく予定である。そのため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本課題は、小腸管腔内での糖の拡散に影響を与える要因を明らかにすることを目的としている。これまでに、水溶性食物繊維存在下での、糖の拡散に影響を与える要因を明らかにする実験を行った。今後は、データマイニングを用いた解析を行うことで、小腸管腔内の環境から食後血糖の制御について考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本課題で測定を行った自由水等の測定のために、MRIを稼働させるためのオペレーターに対する謝金を計上していたが、オペレーターに対する謝金が必要なくなったため、繰越金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、これまでの計画に合わせて水の浸透圧の評価もする予定である。そのため、浸透圧測定器を購入する。浸透圧を含めて、食後血糖を制御する因子を解析する。
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