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2015 年度 実施状況報告書

睡眠および食習慣の乱れに起因した生活習慣病動物モデルの確立と病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 26500014
研究機関東北薬科大学

研究代表者

八百板 富紀枝  東北薬科大学, 薬学部, 講師 (00382672)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード高架式十字迷路試験 / 粉末食 / 咀嚼 / 睡眠 / 高架式十字迷路試験
研究実績の概要

睡眠および食習慣の乱れは、生活習慣病の発症と関連し、その症状には身体的なものだけではなく、情動行動の障害などの精神的なものもある。これらの乱れに起因した動物モデルを作製することは、症状発現機構の解明や特異的治療方法の開発に有用であることが期待できる。そこで、昨年度に明らかとした断続的断眠負荷および長期間粉末食飼育に起因する高架式十字迷路試験における異常行動の発現機構についてそれぞれ検討を行った。
断続的断眠群では、非選択的α2受容体遮断薬のヨヒンビン、α2A受容体刺激薬のオキシメタゾリンおよび選択的ノルアドレナリントランスポーター(NAT)阻害薬のアトモキセチンを投与し、行動薬理学的な検討を行った。さらに、ウエスタンブロット法にてNATの発現量の検討も行った。その結果、断続的断眠群の異常行動の発現には、NATおよびα2A受容体の関与が示唆された。
粉末食飼育群では、それぞれNATおよびドパミン(DA)トランスポーター阻害薬であるアトモキセチンおよびメチルフェニデート、ならびにDA-4受容体刺激薬のPD168077を投与し、行動薬理学的な検討を行った。さらに、餌を粉末食から固形食に置換したときの影響についても検討を行った。その結果、粉末食飼育群の異常行動の発現には、NAT、DAT、DA-4受容体の関与が示唆され、その症状は、餌の置換によって改善することが明らかとなった。
以上のことから、これらの動物は、睡眠および食習慣の乱れに起因した生活習慣病、とくに情動行動の障害を伴う病態モデルであり、その症状発現機構の一部を解明することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度に見出した実験条件をもとに、異常行動の発現機構について、主に行動薬理学的な観点から検討をすすめることができた。さらに一部ではあるが、ウェスタンブロット法を用いた検討にも着手することができた。概ね順調に進展していると判断する。ただし、本研究におけるインクレチンの関与については着手していない。

今後の研究の推進方策

引き続き、行動薬理学的および生化学的な観点から、異常行動の発現機構の解明を行う予定である。さらに、着手していなかったインクレチンの関与についての検討を行う予定である。この検討は、これまでに粉末食飼育群のsocial interactionのテストにおける異常が、インクレチン製剤の連続投与により改善することを報告しているので、この条件を参考に行なう。具体的には、断続的断眠群および粉末食飼育群の異常行動が、インクレチン製剤の単回あるいは連続投与により影響されるかどうかついて明らかにしていきたい。

次年度使用額が生じた理由

学会発表が、所属する機関(宮城)から比較的近い場所で開催されたため出張旅費がそれほどかからなかったこと。また、インクレチン製剤を用いた実験に着手できなかったため、その関連試薬を購入するための金額が次年度使用額になったと考える。

次年度使用額の使用計画

昨年度に十分でなかったインクレチン製剤を用いた実験を優先し研究を進める。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 睡眠や食習慣の乱れに起因した精神神経障害動物モデルの作製2016

    • 著者名/発表者名
      八百板富紀枝
    • 雑誌名

      薬学雑誌

      巻: 136 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [学会発表] 過敏性腸症候群モデルの消化器症状における腸管α2cアドレナリン受容体の関与2015

    • 著者名/発表者名
      武藤正通、八百板富紀枝、村上裕樹、根本亙、中川西修、只野武、丹野孝一
    • 学会等名
      第54回日本薬学会東北支部大会
    • 発表場所
      岩手医科大学(岩手県紫波郡矢巾町)
    • 年月日
      2015-09-26 – 2015-09-26
  • [学会発表] 長期粉末食飼育誘発性マウス異常行動に対するメチルフェニデートの効果2015

    • 著者名/発表者名
      藤巻玲香、八百板富紀枝、佐々木貴史、土谷昌広、荒井裕一朗、根本亙、中川西修、只野武、丹野孝一
    • 学会等名
      第54回日本薬学会東北支部大会
    • 発表場所
      岩手医科大学(岩手県紫波郡矢巾町)
    • 年月日
      2015-09-26 – 2015-09-26
  • [学会発表] 断続的断眠ストレス負荷誘発性情動行動障害に対するADHD治療薬の効果2015

    • 著者名/発表者名
      八百板富紀枝、永澤佑佳、土谷昌広、荒井裕一朗、根本亙、中川西修、丹野孝一、只野武
    • 学会等名
      第66回日本薬理学会北部会
    • 発表場所
      富山国際会議場(富山県富山市)
    • 年月日
      2015-09-18 – 2015-09-18

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公開日: 2017-01-06  

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