研究課題
睡眠および食習慣の乱れは、生活習慣病の発症と関連し、その症状には身体的なものだけではなく、情動行動の障害などの精神的なものもある。これらの乱れに起因した動物モデルを作製することは、症状発現機構の解明や特異的治療方法の開発に有用であることが期待できる。昨年度までに、マウスに断続的断眠負荷および長期間粉末食飼育を行うことで、高架式十字迷路試験における異常行動が発現することを明らかにすることができている。しかし、これらの異常行動におけるインクレチンの関与について検討する点が未着手であったため、これを優先し、1日20時間の断眠を負荷する断続的断眠群並びにインクレチン製剤・エキセナチドを用い実施した。その結果、断続的断眠群の高架式十字迷路試験における異常行動に対して、エキセナチドを末梢投与し検討したところ、改善作用は認められなかった。一方、エキセナチドを脳室内投与し検討したところ、高架式十字迷路試験における異常行動に対する改善作用が認められた。なお、このとき脳室内投与に用いた用量を、非断続的断眠群に対して投与したが影響は認められなかった。さらに断続的断眠群は、腸管輸送能の亢進状態を呈することをすでに報告しており、この亢進状態は、睡眠不足という乱れたライフスタイルに起因するものと考えている。そこで、この亢進状態に対するエキセナチド脳室内投与の効果について、チャコールミール試験を用い検討を行った。その結果、断続的断眠群の腸管輸送能の亢進状態に対するエキセナチド脳室内投与による改善作用が認められた。以上のことから、断続的断眠群で認められる高架式十字迷路試験の異常行動発現機構および腸管輸送能の亢進状態にインクレチンが関与することを明らかとした。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
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