研究課題
本研究では、授乳期間中の母親の魚介類摂取と、出生児の成長と発達の関連性を検証した。魚介類摂取は食物摂取頻度調査によって把握すると共に、血液や母乳中の脂肪酸組成結果を生体指標として用いた。研究フィールドは、環境省が平成23年1月度より開始した「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の追加調査(宮城ユニットセンターによるサブコホート)として設定された。対象者は、母体血(妊娠24~30週)及び臍帯血の赤血球中多価不飽和脂肪酸(PUFA)分析を行った宮城県沿岸部在住の母児である。本研究では、出産後1ヶ月目と7ヶ月目の母乳をそれぞれ162、432人分採取し、さらに、同一の母親24名から1ヶ月、4ヶ月、7ヶ月、10ヶ月に繰り返し母乳を採取し、脂肪酸分析を実施した。同時に、自記式の食事歴調査法によって母親の日常の食物摂取頻度および量を把握すると共に、授乳状況、利用した調製粉乳の種類等についても聞き取りを行った。さらに、体内PUFA量は食事からの取り込みだけではなく、体内合成によっても増えることから、同意の得られた対象者(母親)の脂肪酸代謝関連酵素の一塩基多型をTaqMan法により測定し、体内合成についても検討を行なった。また、DHA代謝に対して影響を及ぼす食事因子としてトランス脂肪酸の摂取が考えられるため、血漿中グリセロリン脂質中トランス脂肪酸組成についても分析を行った。脂肪酸分析はガスクロマトグラフィーを用いた。最終年度は、上記の実施概要のうち、繰り返し採取した母乳及び血漿グリセロリン脂質中トランス脂肪酸組成の分析を行うと同時に、質問紙の解析を実施した。児の成長・発達と、体内におけるPUFA合成、胎盤を介してのPUFA移行、さらには、母乳及び人工乳からの乳児のPUFA摂取量との関連について総合的に検討を行った。
すべて 2017 2016
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