研究課題/領域番号 |
26500019
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
田嶋 信義 金沢医科大学, 医学部, 助教 (30708996)
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研究分担者 |
加藤 伸郎 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10152729)
谷口 真 金沢医科大学, 総合医学研究所, 講師 (30529433)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | イオンチャネル / 不飽和脂肪酸 / アミロイドベータ / アルツハイマー / 電気生理 |
研究実績の概要 |
本研究は、ω-3不飽和脂肪酸がBKチャネル(大コンダクタンス、Ca2+依存性K+チャネル)の活動を介してアルツハイマー病モデルの神経細胞興奮性にどのような影響を及ぼしているのかを解明し、その結果を基に不飽和脂肪酸によるAβ1-42毒性の抑制が可能かどうかを明らかにすることを目的として計画されたものである。 先ず、BKチャネル活動に対するAβ1-42の抑制作用が直接作用なのか、あるいは他の分子を介した間接作用によるものであるのかを明らかにすることを目的に、HEK細胞にBKチャネルを構成するαサブユニット遺伝子発現ベクターを導入し、可溶性単量体Aβ1-42及びその多量体を作成し、細胞内側に投与し、BKチャネル電流に対する影響をinside-out法による電気生理学の手法で調べた。これまでにBKチャネル活動に対する単量体及び多量体Aβ1-42の直接作用は見られていない。また、BKチャネルを構成するβサブユニット(β1、β4)をαサブユニットと共にHEK細胞に発現させ、その影響を調べたが、BKチャネル電流に対するAβ1-42の作用は見られなかった。そこでAβ1-42の前駆タンパクであるAPP(アミロイド前駆タンパク)を安定的に発現しているCHO細胞を用い、上記inside-out法並びに細胞内環境を維持することを目的に、whole-cell記録法によってAPPとそれから切り出されたAβによるBKチャネルの活動に対する影響を調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当研究を開始後、正立顕微鏡から倒立顕微鏡への変更等実験システムの構築に手間取ったこともあったが、HEK細胞を使った実験系が研究目的の達成のためには適切ではなかった可能性が考えられる。HEK細胞へのBKチャネル発現量の調節等色々試みたが、予想した結果は得られなかった。 アルツハイマー病脳の神経細胞で生じているAβによるBKチャネル活動抑制は、当初予想したAβのBKチャネルへの結合等の直接作用ではなく、間接的な作用の結果である可能性が極めて高いと考えられる。また、この現象は複雑な機構によって生じていることが予想される。現在は、APP(アミロイド前駆タンパク)を安定的に発現しているCHO細胞を用いた実験系により実験を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに得られた実験結果からは、BKチャネル活動に対するAβ1-42の抑制作用は間接的作用である可能性が高いことが予想される。現在、APP(アミロイド前駆タンパク)を安定発現させたCHO細胞にBKチャネルを構成するαサブユニットを単独、さらにはβサブユニット(β4)をαサブユニットと共にCHO細胞に発現させた実験系を用いて計画を進めている。また、実験系をより神経細胞に近いNeuroblastoma 2A (N2A)に変更することを検討している。そして、BKチャネル(αサブユニット単独、αサブユニットとβ4サブユニット)を導入発現させ、whole-cell記録法を用い、パッチ電極に充填したAβ1-42の拡散によりBKチャネルに対する抑制作用の確認を計画している。そして、抑制作用が確認された後、DHA等のω-3不飽和脂肪酸によるBKチャネル活動の増強作用を介して回復されるのかどうかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画の進行が当初予定したようには進まず、試薬・消耗品等の購入費が予定予算額を下回った。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越された予算を試薬・消耗品等の購入費に充てる予定である。
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