研究課題
メディカルハーブ成分でストレス軽減効果の有る予防薬や気分障害の治療薬として適用できるフィトケミカルを選定、評価する基礎研究である。カテコールアミン神経系へ作用するものを細胞レベルで同定し、動物実験系で生体における気分障害への影響を解析し、神経機能への有効性と作用機序等を多角度から検討していくことを目的としている。 交感神経系機能のモデル系としての培養ウシ副腎髄質細胞とヒト神経芽細胞(SK-N-SH)を用いてカテコールアミン神経機能に影響するフィトケミカルとして、今年度は柑橘系機能性成分のNomilin 、Auraptene 、Limoninを選定し、詳細な検討を行った。Nomilin 、Auraptene 、Limonin はアセチルコリン(ACh)受容体刺激によるCA分泌を抑制した。Nomilinはニコチン性ACh(nACh)受容体刺激によって引き起こされるCA分泌と[Ca-45]イオン流入を濃度依存的(10-100 μM)に抑制し、[Ca2+]i変動も抑制した。電位依存性Caチャネル活性化による[Ca2+]i変動には影響しなかった。Aurapteneはチロシン水酸化酵素(TH)のSerine40のリン酸化を増加させた。長期処理においてnACh受容体と電位依存性Caチャネルを介するCA分泌を抑制した。Aurapteneの48時間処理においてTotal CA量の減少が認められ、CA生合成の律速酵素であるTH蛋白量が増加した。THのセリン31、40のリン酸化は抑制された。柑橘系リモノイドであるNomilinとクマリンであるAurapteneは、ニコチン性アセチルコリン受容体のイオンチャネルを阻害することにより、カテコールアミン分泌を抑制することが示唆された。Auraptene はCA生合成系の機能調節に関与しているが、その機序については検討が必要である。
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Lung
巻: 194 ページ: 121-124
10.1007/s00408-015-9833-4